現存最古のパチンコ台を手にする杉山氏。右の台は自作のレプリカ
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謎の解明に挑んだ軌跡 桜が丘在住の杉山一夫さん

 「大衆娯楽の王様」であるパチンコのルーツ解明に血道をあげた三十年来のライフワークの集大成として、桜が丘在住の杉山一夫さんが自宅の一角に「パチンコ誕生博物館」を開設した。今週末の28日(日)から一般公開を開始する。コロナ禍により当初3月に予定していたオープンはずれ込んだが、満を持してのスタートに胸を躍らせている。日曜日のみの事前予約制となるが、展示物に関する時代背景や盤面の動作などを本人がガイドする。

自宅改装 「パチンコ誕生博物館」

  パチンコ誕生にまつわる正しいルーツを解き明かした人はかつて誰もいなかった。業界の力関係で事実が上塗りされ、誤った情報が流布されて常識となっていく。”パチンコ愛”を原点とする台の収集は、いつしか「真実の解明」に興味が移っていった。

 かつての通説は、英国発祥の遊技で戦前に大流行した「コリントゲーム」を起源するもの。横置きのボードゲームだが、盤面を立てるとパチンコに形状が似ているため、業界も大筋でルーツと認めていた。これに異論を唱えたのが杉山氏。特許に関する資料と新聞をとことん調べ上げ、コリントゲームの日本での製造開始年月日がパチンコのそれよりも後であることを突き止め、「ウォールマシーン」と呼ばれる英国のコインゲームであるとの新説をぶち上げた。研究成果を1冊にまとめた『パチンコ誕生 シネマの世紀の大衆娯楽』を出版したのが2008年。所有する現存最古のパチンコ台を東京銀座の画廊で飾る展示を行い、NHKテレビ他に出演したが、パチンコの文化史になんら影響を与えることはできなかった。産業機械としての価値を訴え、業界や公共博物館に台の寄贈を申し込んだが反応は鈍かった。

 あれから12年。状況に変化はないが、「真実の歴史を伝えたい」という思いは変わらない。5000万円の私財を投じて買い求めたコレクションをこのまま埋もれさせてしまうのも悔やまれる。私設博物館には杉山氏の執念が展示されている。

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 手打ち式パチンコなど約70台を展示。生い立ちと遊技台の技術変遷を辿ることができる。パチンコ型の菓子販売機、日本製ピンボール、スマートボールも飾られている。

■桜が丘1の8の13/日曜日のみ開館/午前11時から午後5時/入館料500円/予約制/【電話】

タウンニュース横須賀版 2020年6月26日号
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