慰霊碑に配置された済州島の石に触れる遺族ら=大阪市天王寺区の統国寺で、岡崎英遠撮影
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 韓国・済州島で1948年、朝鮮半島の南北分裂国家樹立に反対した民衆の一部が蜂起し、島民約3万人が犠牲になったとされる「4・3事件」の慰霊碑が大阪市天王寺区の統国寺に完成し18日、除幕式があった。式には関西一円の在日コリアンら約300人が出席、犠牲者を追悼した。【岡崎英遠】

 大阪には事件当時、日本に逃れた人など済州島出身者が多く、遺族らでつくる「在日本済州四・三事件遺族会」などが毎年慰霊祭を実施している。事件から70年の節目に、「大阪でも記憶の継承を」と今年2月から資金を募ったところ予定の350万円を超える寄付が集まった。

 在日コリアンにゆかりの深い統国寺の境内に建立された慰霊碑は高さ3・6メートル。遺族が古里を感じられるように当時、島にあった178の村々の石を運び込んで並べた。

 事件から逃れ20歳で来日した宋福姫(ソンボッキ)さん(87)は「古里の石もあった。大阪でも犠牲者を追悼する場が出来てうれしい」。慰霊碑建立に取り組んだ遺族会の呉光現(オクァンヒョン)会長(61)は「済州島ルーツの人の多い大阪は4・3事件のもう一つの舞台でもある。追悼と同時に、この歴史を後世に伝える場ともしたい」と話した。

毎日新聞 2018年11月20日 地方版
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