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 「好きなパン、持っていってください」「冷たいの選んでなー」。肱川(ひじかわ)の氾濫(はんらん)で大規模な浸水被害が出た愛媛県大洲市では10日、避難所となっている公民館の前で、高校生たちが汗を流しながらパンや麦茶、オムツなどを無料で配った。


 この活動を呼びかけたのは松山市の高校生、吉田アンドリューさん(17)。大洲市内の高校に以前通っていた吉田さんは、バイトをしていた大洲市のファミレスが浸水被害を受けたことを知り、「お世話になった人もいるし、いてもたってもいられなかった」。

 被災者に配るパンや水、菓子などを購入するため、9日からインターネットのクラウドファンディングで一口300円の出資を募った。さらに同日、「ボランティアしよう」と友達に呼びかけながら、母親の車で大洲へ。集まった友達と浸水した住宅を回り、片付けや掃除を手伝った。

 10日はツイッターで「困っている人は是非来てください」と発信し、友人と一緒に食料品を配った。パンなどを受け取った主婦の渡辺樹里さん(37)は「水が出ないので、パンみたいにすぐに食べられるものだと洗い物も出ないし助かります。お菓子や甘い物も、子どもたちが落ち着くので、ありがたい」。

 クラウドファンディングは10日午後、目標額の30万円に達した。吉田さんは11日も昼前から食料を配布。12日まで片付けなどのボランティアも続ける。「暑いですけど、水分補給と食事をすれば大丈夫です」(根本晃)