朝田善之助記念館には朝田さんが最晩年を過ごした自宅が再現された=京都市左京区で、南陽子撮影
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 全国水平社の創立大会に参加し、戦後の部落解放運動をけん引した朝田善之助さん(1902〜83)の遺志をくんだ「朝田善之助記念館」が、生涯暮らした京都市左京区に完成した。部落解放同盟中央執行委員長も務めた朝田さんが集めた運動の資料や記録ノート、口述筆記させた草稿など約4万6000点を収める予定で、7月半ばから閲覧利用を受け入れる。

 朝田さんが存命中に私財を投じて設立し、これまで大学生ら約70人に奨学金を貸与してきた朝田教育財団が建設した。孫で財団副理事長の朝田華美(はなみ)さん(63)が土地を提供し、寄付金も募って約7000万円の建設費をまかなった。

 ヒノキの間伐材を構造材として用いた木造2階建て。朝田さんが最晩年に暮らした市営アパートの自室を一画に再現し、教えを請う人を迎え入れた往時の雰囲気を伝えている。

 朝田さんが亡くなった4月29日にあった記念式典で、財団理事長の松井珍男子(いずひこ)さん(79)は「部落解放の巨人が遺した資料から、未来を生きる皆さんに人権意識を身につけていただきたい」。華美さんは「差別をなくすにはどうしたらいいかを考える場になってほしい」とあいさつした。

 図書資料は検索データベースも整備。開架部分は平日なら誰でも手に取れるようにするという。【南陽子】

毎日新聞 2018年5月3日 地方版
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