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 両備ホールディングス(HD、岡山市北区錦町)は8日、グループ2社が運行する路線バス78路線のうち、赤字幅の大きい31路線について廃止届を中国運輸局に提出したと発表した。
期日は20路線が9月末、11路線が来年3月末。廃止理由については岡山市中心部でのバス事業の過当競争を挙げる一方、状況によっては取り下げる可能性も示唆した。

 両備HDによると、対象は両備バス(岡山市北区錦町)が岡山、倉敷、玉野、瀬戸内市で運行する18路線、岡山電気軌道(岡電バス、岡山市中区徳吉町)が岡山、倉敷市を走る13路線。
重複路線や他社との共同運行があるため、実際に廃止となるのは一部区間に限られるが、影響は1日約5500人に及ぶとしている。

 本社で会見した両備HDの小嶋光信会長は、廃止の背景として、同業他社の八晃運輸(岡山市中区倉益)が計画している循環バス「めぐりん」の新路線開設を挙げ
「バス事業は30〜40%の黒字路線で残りの赤字路線を維持している。黒字路線に新規参入されれば赤字が膨らみ、全体を維持できなくなる」と述べた。

 一方で廃止届の扱いについては「あらゆる可能性がある」とした上で「むしろ路線を維持するために提出した。全国の公共交通を守るための問題提起だ。
自治体や市民、バス事業者が将来の公共交通網の在り方を考えるきっかけとしたい」と理解を求めた。

 両備HDの試算では、めぐりんの新路線が開設された場合、競合路線での運賃収入減などで両備バス、岡電バス共に4割超の減収が見込まれるという。

 八晃運輸は新路線について「運行開始が決まったら発表したい」とし、両備HDの路線廃止に関しては「まだ新路線の運行が始まっておらず、
何も結果が出ていない段階で今から赤字路線をやめるというのは理解しがたい。利用者目線で考えてほしい」としている。
(2018年02月08日 23時08分 更新)
http://www.sanyonews.jp/article/666232/1/?rct=area_syuyo