鳥取温泉の旅館にある露天風呂
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共同浴場の前に立つ吉田豊明組合長(左)と、山本憲二郎自治会長=鳥取市で、小野まなみ撮影
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 鳥取市は、県庁所在地の中心地に温泉が湧く「湯の街」だ。鳥取と浜村、国民保養温泉地に指定されている吉岡と鹿野の計4カ所があり、それぞれ違った特徴がある。

 鳥取温泉で何より魅力的なのが、JR鳥取駅から徒歩圏内というアクセスの良さだ。最も栄えた昭和30〜40年代に比べると、宿は10軒ほど減って5軒だけだが、立地の良さから観光客のみならず、ビジネス客にも好まれている。天然温泉が使われている公衆浴場も4軒あり、地元の人の憩いの場だ。

 宿や浴場は、敷地内にそれぞれの源泉を持っている。各施設に湯を配る集中管理方式と違って、酸素に触れる時間が短い新鮮な湯が届けられるのが利点。豊富な成分が損なわれず、神経痛や疲労回復、美肌に効果があるとされている。

 更に鳥取駅から車で20分ほど走れば、市内最古の吉岡温泉(同市吉岡温泉町)に着く。「『鳥取の奥座敷』と呼ばれるくらい、ほどよい距離なんです」と、吉岡温泉旅館組合の吉田豊明組合長。昔ながらの旅館が軒を連ねる落ち着いた雰囲気を楽しもうと、湯治客や一人旅の客を中心に多くの人が足を運ぶ。

 吉岡温泉町自治会管理の共同浴場も人気で、料金は大人200円とリーズナブル。住民は毎年「湯銭」を納めれば何度でも湯につかれる「札」を持っており、自宅の風呂がわりに利用している。新築移転して、4月にも「新吉岡温泉会館」としてオープンする予定だ。

 自治会の山本憲二郎会長は、会館の完成を「新しいスタート」と待ち望んでいる一人だ。自治会は、観光客や移住者を増やして温泉街ににぎわいを生み出そうと、2016年に長期計画を作成。19年にも県内の山陰道が全線開通する予定で、立ち寄り客の増加も期待できる。今後、新たな飲食店を作ったり空き家活用をしたりすることも視野に入れており、山本会長は「毎年少しずつ取り組みを進めて、更に魅力ある町にしていきたい」と力を込める。

 このほか、江戸時代の大名、亀井茲矩(これのり)が治めた城下町に湧く鹿野温泉では、風情ある町並みの散策も楽しめる。民謡「貝がら節」の里として伝わる浜村温泉は海岸が間近に迫り、日本海の新鮮な魚介も堪能できる。【小野まなみ】

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鳥取市内の温泉

 鳥取温泉はJR鳥取駅から徒歩10分圏内。鳥取砂丘までは車で約15分。吉岡温泉は同駅から車で約20分で、共同浴場は「吉岡温泉館」と「下湯温泉館」の2カ所がある。鹿野温泉はJR浜村駅から車で約10分で、温泉宿は2軒。共同浴場「温泉館ホットピア鹿野」があり、大人430円で利用可。浜村温泉は同駅から徒歩3分圏内に温泉旅館が2軒ある。毎年8月には「貝がら節祭り」が開かれる。

毎日新聞 2018年1月4日 地方版
http://mainichi.jp/articles/20180104/ddl/k31/040/236000c