http://www.sanyonews.jp/article/640061/1/

 酒を実際に飲み、体内に残るアルコール量や運転に及ぼす影響を調べる―。こんな実験が9日、岡山市で行われた。被験者は男性22人。
飲酒後の検査結果によると、6時間経過しても酒気帯び運転の摘発基準となる呼気1リットル中0・15ミリグラム以上のアルコールが検出された。
忘年会シーズンを迎え、専門家は飲酒翌日の“残存アルコール”への注意を呼び掛けている。

 交通関連機器製造会社のマイクロメイト岡山(岡山市北区奥田本町)に地域住民や岡山操山ライオンズクラブの会員らが集まり、午前10時45分、実験をスタートさせた。
90分間飲み放題で、同じ量のアルコールが入った飲み物(ビール500ミリリットル、焼酎110ミリリットルなど)を飲み干すごとにお代わりを受け取るルール。
いつ何を飲んだかを書き留め、アルコール摂取量を確認する仕組みだ。

 飲酒終了時刻の午後0時15分、被験者1人当たりの飲酒量はビール2〜5杯分。
最初の呼気検査ではアルコールが呼気1リットル中0・15ミリグラム以下の人はゼロ、終了2時間後になっても17人が0・15ミリグラムを上回っていた。
会場にはこの間、車の模擬運転席が用意され、画面に表示される合図に従い、ハンドルやブレーキを操作する試験が行われたが、被験者の反応は一様に鈍い。

 飲酒から4時間。ビールとハイボールを2杯ずつ飲んだ男性(38)=岡山市=は数値が0・08ミリグラムまで低下し「(アルコールが)抜ける時間は想像通り」。
一方、焼酎水割り4杯を飲んだ男性(43)=同市=は0・38ミリグラムとなかなか下がらず「これほど残っているなんてびっくり」。

 6時間後の最終検査で基準値オーバーは2人だったほか、1人が0・1ミリグラムだった。
ビールと日本酒を計4杯飲み0・15ミリグラムとなった男性(73)=同市=は
「数値と自分の感覚の間に大きな差があった。お酒と上手に付き合いながら安全運転を心掛けたい」と話した。

 実験結果の分析を担う川崎医療福祉大の金光義弘名誉教授(交通心理学)は
「6時間経過してもアルコールが体内に残っている人は確実にいることが実証された」と強調。
「『夜に酒を飲み過ぎると翌朝、車に乗ってはならない』という自己抑制を働かせてほしい」と訴えている。

 実験は、福岡市で飲酒運転の車に追突されて幼児3人が死亡した事故を受け、マイクロメイト岡山などが2006年から毎年実施。
結果は翌年の交通心理学会で発表している。

(2017年12月12日 16時21分 更新)


アルコールいつまで残るか実験 岡山で22人、6時間後も検出
山陽新聞:2017.12.12 19:00