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ほぼ完全な形で確認された弥生時代のすずり=福岡県筑前町
福岡県筑前町の薬師ノ上遺跡で14年前に出土した石製品が、墨が付着した弥生時代のすずりである可能性が高いことがわかった。
当時、北部九州の広い範囲で文字文化が普及していたことを示す傍証になる。
石製品は長さ約15センチ、幅6〜5センチ、厚さ数ミリ〜1センチ足らず。
材質は砂質頁(けつ)岩で二つに割れているが、ほぼ完全な形。
表面には炭化物がうっすらと付着し、当時使用された墨とみられる。
2003年、紀元前から紀元後にかけての弥生時代中〜後期の土器だまりで発見された。
田和山遺跡(松江市)や三雲・井原(いわら)遺跡(福岡県糸島市)に続く弥生すずりの発見で、墨が残る完全な形での出土は初めて。
日本列島にいつ文字が導入され、どのくらい定着していたかは考古学上で論争がある。
筆記用具であるすずりはそれを解明するための重要な手がかりだ。
これまでは、三雲・井原遺跡が所在する「魏志倭人伝」記載の伊都(いと)国領域など海外文化と接触する海岸部での出土だったが、弥生文化に詳しい柳田康雄・国学院大客員教授(考古学)は
「今回、内陸部でもすずりが確認されたことは、当時かなり広い範囲で文字が使われていたことを物語る」と話す。
詳細は今月下旬に福岡市で開かれる九州考古学会で報告される。
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墨が付着した弥生時代のすずりか 福岡の薬師ノ上遺跡
朝日新聞:2017年11月19日11時53分