県内での年間交通事故死亡者数は、昨年まで14年連続で全国ワーストを記録している。
今年も7月に、昨年より10日早く死者数が100人に達した。

県警が対策に苦慮するなか、国道3本を抱え、交通量が多い名古屋市南区を担当する南署では、
例年5件ほどあった死亡事故が昨年は1件、今年は0件で、人身事故件数も減少傾向だ。
「警察が24時間いる」と噂(うわさ)される取り組みが成果を上げているようだ。

「247にはいつも警察がおるよね」。
南区の国道247号沿いに住む自営業加藤賢三さん(68)は、
近所の人や仕事仲間と247号で警察車両をよく見かけると話題になるという。
ほぼ毎日、247号を通るトラック運転手の男性(45)も
「朝から晩まで、パトカーや白バイがいる。やっぱり気が引き締まります」と話す。

247号は名古屋市熱田区を起点とし、豊橋市に至る国道だ。
そのうち、約5・5キロが南区を南北に貫く。
近くには工場が立ち並び、乗用車や大型トラックなどが行き交う。

南区には国道や名古屋環状線など主要道が6本あるが、247号は人身事故件数が例年最も多く、
2015年に区内で発生した4件の死亡事故のうち、3件が247号で発生した。

そこで、南署は昨年4月、「R247プロジェクト」を立ち上げ、対策に乗り出した。
信号系統の見直しや飲酒検問など取り締まり強化のほか、力を入れたのが「存在感」を示すことだった。
交通課のパトカーや白バイが事故対応に出た際、247号を経由して署に戻るようにした。

南署の木村薫史交通課長は
「24時間、365日、247号に常に警察車両がいるように感じてもらいたかった」。

効果は大きく、昨年から247号での死亡事故は0件。
人身事故件数も昨年は128件で、一昨年と比べて39件も減少した。
今では交通課以外の車両も「247号を通って署に戻る」ことが浸透しており、
ドライバーや住民にも「24時間警察がいる道路」と知られるほどになった。

南署管内では、県警が統計を開始した1955年以来、毎年交通死亡事故が起きている。
初の死亡事故0件を目指すという木村課長は
「歩行者には安心を、運転者には注意を呼びかけるために地道にパトロールをしていく」と話している。

写真:国道247号を走るパトカー
https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20170829001202_comm.jpg

以下ソース:朝日新聞 2017年8月29日11時03分
http://www.asahi.com/articles/CMTW1708292400001.html