雌の「旦旦」を飼育する神戸市立王子動物園(同市灘区)も悲願の繁殖を目指し、
雄の貸与を求めて中国への働き掛けを強めている。
旦旦の“パートナー”だった雄の「興興」が7年前に急死した後、
新たな雄を借り受けることで合意したが、その後の日中関係冷え込みで棚上げ状態に。
時間の経過とともに旦旦の高齢化という問題も浮上し始め、関係者らは一日も早い事態の打開を願っている。
(若林幹夫)
先月10〜12日、王子動物園の中井恭一郎園長と、同園を所管する神戸市建設局の油井洋明局長が訪中。
パンダ貸与の窓口となる中国野生動物保護協会(CWCA)の幹部らに、雄を貸してくれるようあらためて訴えた。
市幹部らによる直接の要望は断続的に行われているが、今年は3月に前任の建設局長が訪れたばかり。
今春着任した2人のあいさつに重ね、積極的に交渉の機会を設けた。
CWCA側は同園での飼育実績などの説明に理解を示したといい、
中井園長は「雄の貸与が必要という認識では一致している」と力を込める。
昨年11月には、同園に中国からパンダ飼育の関係者を招いて共同講演会を開くなど、
現場レベルの交流は着実に進む。
ただ、中国にとってパンダ貸与は「国同士」の友好の証し。
興興が死んだ翌年の2011年、新たに雄1頭を借りることで合意したが、
12年9月の日本政府による沖縄県・尖閣諸島の国有化などで両国関係が悪化し、
貸与は実現しないままになっている。
局面を打開しようと、今年から神戸市会の日中友好議連も動き始めた。
4月、「雄補充で中国への強い関心と親近感が醸成される」などとした久元喜造市長の親書を携え、
東京の中国大使館を訪問。
5月には中国四川省の繁殖研究拠点を視察した。
さらに先月下旬には再び大使館に赴き、市内の園児らが描いたパンダの絵373枚を手渡した。
神戸側が早急な雄の貸与を求める背景には、9月で22歳となる旦旦の高齢化もある。
年1回の発情期は今年もあったが、国内では20歳以上の出産例はない。
旦旦の貸与期間は15年に20年まで延長されたが、将来的には若い雌への借り換えも検討課題となる。
中井園長は
「旦旦の高齢化など、CWCAも状況は認識している。
まずは速やかに雄の貸与というハードルをクリアしたい」と話している。
写真:王子動物園での人気は常に1位のジャイアントパンダ。1頭での飼育が続く雌のタンタン
https://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201708/img/b_10433720.jpg
以下ソース:神戸新聞 2017/8/4 16:00
https://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201708/0010433719.shtml