今春から1日6本の京都バスが走っている。
観光客の増加に伴う増便だが、住民の利用は少なく、増便されたことすら知らない人も。
地元にとってはまだまだ「幻」のままのようだ。
■観光客増に対応も知られず
大原―鞍馬をつなぐ95系統は1986年に運行を開始。
春分の日から11月の休日に1日3往復を走らせていたが利用は伸びず、
2012年からは年に1回、春分の日に走る鞍馬行き1本だけに。
95系統しか通らない江文峠、江文神社前、江文峠口のバス停は、バスファンから「幻」と称されるようになっていた。
ところが、大原や貴船を訪れる観光客が増え、
京都バス(右京区)は今年3月に95系統とほぼ同じルートで大原と貴船口を結ぶ55系統を新設。
1日3往復を走らせた結果、三つのバス停には昨年と比べて2千倍を超える本数のバスが通ることになった。
5年ぶりに「幻」から抜け出したが、地元の反応は鈍い。
江文峠口バス停近くの介護老人保健施設「おおはら雅の郷」事務長の吉田亮さん(43)は
「最近バスをよく見るようになったけど、増便は知らなかった」。
利用者の多くは施設の送迎バスを使っている、という。
「約20年前、バス停まで徒歩1分という宣伝を見て家を買った」と苦笑するのは、
江文神社前バス停そばに住む工務店経営高倉哲法さん(53)。
「鞍馬や大原に行く用事は少なくて、住民には使いにくい。
観光客の利用だけで維持は難しく、いつまで1日6本走るのか」と心配していた。
ただ観光客には一定のニーズはあるようだ。
5月下旬の平日午後2時台に江文神社前を出たバスには外国人を含む14人が乗車していた。
観光客とみられ、全員が貴船口で降りた。
相模原市の会社員田中里美さん(35)は「大原で時刻表を見てバスを知り、予定外の貴船に行くことにした」。
京都バスが95系統を年1本でも残してきたのは、
路線廃止後に復活させようとした場合、バス停設置などで再び国の認可が必要になるためだ。
将来的な増便を願って存続させた強い思いがあるが、55系統の利用客は1本平均1.2人にとどまる。
同社は「増便の周知に力を注ぎ、大切に残してきた路線を何とか軌道に乗せたい」と話す。
写真:年1回から1日6本にバスの本数が増えた京都バスの「江文神社前」バス停。もう「幻のバス停」とは言わせない?
http://www.kyoto-np.co.jp/picture/2017/06/20170603211345bus_450.jpg
以下ソース:京都新聞 2017年06月03日 21時50分
http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20170603000111