>>31-32>>34-39
>その意味で完全な単系はありません。

>より具体的には、凡人の子を生んだ皇親女子の父皇親は、皇親を婿とすることによって子を皇親と成し得た女性達と
>その庇護者達の既得権を犯して、皇親では無い者を皇親とするような身分上昇を、娘の子の父である凡人に求める
>という矛盾する立場に置かれかねないということです。

皇統が男系継承なら皇親女子と凡人の間に生まれた子に皇位継承資格が生じることは原理上ありえないのだから、
「皇親では無い者を皇親とするような身分上昇」は不可能でしょ(皇統が双系継承なら潜在化していた女系の皇位
継承資格を顕在化させることが原理的には可能かもしれないけれど)。
継承原理的に起こりえない不可能なことを防止する必要はない。
完全に論理が破綻しているよ。

そちらの示した令集解・令義解の読み方や解釈が正しいかどうかは別として、その読み方と解釈に沿って推論を進
めてみた結果、矛盾・論理破綻があったのは律令制定前の婚姻規制が設けられた理由と、「天皇の卑属一等親が凡人
の身分では気の毒という人情」という部分。
これは「男帝の子も女帝の子も全て親王(皇親)」という考えから派生したものなので双系原理。
「姓」と「財産」のように制度上別個のものなら継承原理が異なっていてもおかしくないけれど、あなたの仮説は同じ
「親王位、4世までの王位(皇親)」の継承原理に男系原理と双系原理を設定しているところが矛盾している。
仮説の真偽は矛盾・論理破綻の有無で判定するので、そちらの説は偽であると結論(今まで聞いた男系説はどれも
慣習法・成文法の「皇親女子と氏族男子の婚姻規制」で論理が破綻していた)。

それとあなたは「皇位継承資格」の継承原理の男系継承と「皇位継承者の選定方法」の男子優先を混同しているね。
皇位継承システムには「皇位継承資格(継承原理・適用範囲)」と「皇位継承者の選定方法」の二つの要素がある
「皇位継承者の選定方法」として男系男子が多く選ばれていても、「皇位継承資格」が双系原理ならそれは双系継承。
同じことは家筋(苗字)にも言える。
平田篤胤は家筋の継承原理を「双系継承」と認識し、家筋の継承者の選定については「男子優先」が普通と考えて
いた。
双系制度下でたとえ男子のみで出自が受け継がれたとしても、それは「双系継承の一形態」に過ぎない。

〈現皇室典範〉
皇位継承資格―「皇統の男系男子(庶子不可)・永世皇族」、皇位継承者の選定方法―「直系長子優先」
〈有識者会議改正案(女系容認案)〉
皇位継承資格―「皇統の男子及び女子(庶子不可)・永世皇族」、皇位継承の選定方法―「直系長子優先」
〈旧皇室典範〉
皇位継承資格―「皇統の男系男子(庶子可)・永世皇族」、皇位継承者の選定方法―「直系長子優先」
〈皇室制規(旧皇室典範試案)〉
皇位継承資格―「皇統の男子及び女子(庶子可)・永世皇族」、皇位継承者の選定方法―「男子優先の直系長子
優先」
※[継嗣令第一条]に規定されているように、女帝の子も男帝の子と同じく親王である。
また『続日本紀』によれば膳夫王(吉備内親王の子)、五百井女王(能登内親王の子)らに対し、父方の3世王位、4世
王位を破棄して母方の2世王位が適用されていた。
序列は「女系親王位>男系王位」、「女系2世王位>男系3世王位」、「女系2世王位>男系4世王位」となるので、
律令の「皇位継承資格」は男系も女系も同格。

>婚姻関係に無い男女の間に生まれた子と、子の実の父との関係を認めないキリスト教圏の私生児の制度は母系
>制を意味しますか?

キリスト教圏の家名は男系継承だけど、私生児は父方の家名を継承するか新しいものを創設しているので、母方の
出自は継いでいないんじゃないの?
苗字なんかも創設されることはあるけど、苗字自体は双系原理。
家名や苗字の創設と継承原理はまた別の話だよ。