2023年1月18日 18時17分
日本維新の会の前川清成衆議院議員が、おととしの衆議院選挙の公示前にみずからへの投票を呼びかける文書を不特定多数の有権者に送ったとして、
公職選挙法違反の罪に問われた裁判で、奈良地方裁判所は罰金30万円の有罪判決を言い渡しました。
日本維新の会の衆議院議員、前川清成被告（60）はおととしの衆議院選挙で、公示前、出身大学の卒業生の名簿をもとに選挙区内の人に対して、
「選挙はがき」の用紙とそこに知り合いの名前や住所を記入して送り返すよう「宛名書き」を依頼する文書などを郵送していました。
この行為について検察は、不特定多数の有権者にみずからへの投票を呼びかけるもので選挙の『事前運動』に当たるとして、
公職選挙法違反の罪で在宅起訴していました。
これに対し議員側は裁判で「同じ大学の出身者に宛名書きを依頼したもので、
法律上、認められている『選挙の準備』だ」として無罪を主張していました。
18日の判決で、奈良地方裁判所の澤田正彦裁判長は、「文書などを郵送した2400人余りのうち、依頼に応じたのは10人から20人ほどにとどまっており、
不特定多数の有権者に送ったと認められる」と指摘して、罰金30万円の有罪判決を言い渡しました。
この判決が確定すれば、前川議員は失職し、5年間、公民権が停止されます。
前川衆院議員「残念に思う」控訴する意向示す
前川清成衆議院議員は、判決のあと、記者会見を開き、
「全く想定していない結果となり、残念に思う。これまでの選挙実務でも当たり前のように行われてきたことについて、
恣意的（しいてき）、差別的に捜査・立件されて国会議員がその立場を失うことになれば、議会制民主主義が崩壊してしまうのではないか。
全く納得できないのが率直なところだ」と述べ、判決を不服として控訴する意向を示しました。
また、判決が今後の選挙に影響を与えるとして
「私だけが何か特殊なことをやったわけではない。今回の判決は、すべての選挙に対してものすごい萎縮効果があると思う」と指摘しました。
議員辞職については、今のところ考えていないと明言したものの、
「1審判決とはいえ、有罪判決を受けたので、政治家としてどのように対応するかは今後、党とも協議したい」と述べ、
現在務めている党の奈良県総支部の代表にとどまるかどうかも含め今後の対応を関係者と相談していく考えを示しました。
維新 馬場代表「心からおわびしたい」
日本維新の会の馬場代表は、NHKの取材に対し
「立法府の人間が公職選挙法を順守できなかったことは、投票いただいた有権者をはじめ党に期待をかけていただいた人たちに申し訳なく心からおわびしたい。
こうした事態を二度と起こさず公正な選挙活動を実践できるよう候補者の教育に努めたい」と述べました。
前川清成衆院議員とは
前川清成衆議院議員は奈良県橿原市出身の60歳。
弁護士で平成16年に当時の民主党から立候補して参議院議員を2期務め、民主党政権では内閣府副大臣などを歴任しました。
2021年の衆議院選挙では日本維新の会の公認を得て奈良市などを含む奈良1区から立候補し、
小選挙区では落選したものの重複立候補していた比例近畿ブロックで復活当選しました。
現在は、日本維新の会奈良県総支部の代表を務めています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230118/k10013952811000.html
