【3月30日 AFP】
大麻を吸うと、「良い母親になれる」と語るカリーン・シール(Karine Cyr)さん。2児の母である彼女は、昨年10月にカナダで嗜好用大麻が解禁されて以来、同じ志を持つカナダ人女性らのグループを率いている。

 この女性たちは社会規範に真っ向から立ち向かい、子育てをしながら大麻を使用することに対する烙印(らくいん)を断固、拒絶しようとしている。「私が大麻を吸うのは、家事をしたり子どもたちと遊んだりしているとき。子どもたちに対してもっと忍耐強くなれる」とシールさんは話す。

 こうした彼女の考えに医師らは賛同しないが、大麻に関する経験や考えを共有するために彼女がフェイスブック(Facebook)で立ち上げたグループ「デフルールマシェール(Des fleurs ma chere)」には、共感した数百人の女性メンバーがいる。

 カナダ保健省は、受動吸引のリスクがあることから親が大麻を吸うことに警鐘を鳴らしている。また「(子どもに向ける)注意力や決断力、緊急時の対応力などが損なわれる可能性がある」とも警告している。

 だがシールさんは、新米ママらの不安や落ち込みを治療する際に処方されるオピオイドや抗うつ剤よりも、大麻を使用する方がはるかにいいと主張する。

■妊娠中の大麻吸引

 シールさんは、2人目の子どもを妊娠後、気持ちを落ち着かせるためにカンナビジオール(CBD)オイルを使い始めた。このオイルは、大麻草に含まれている向精神作用を持たない化合物を原料としている。

 政府の統計機関によると、カナダ人口全体に対する大麻使用経験者の割合は19%。これに対して、カナダ人女性における割合は12%だという。

 またカナダに加え、一部の州で大麻使用が合法化されている米国の女性たちの間で、大麻の人気が急速に高まっていることが複数の研究論文によって明らかになっている。市場関係者らはすでにそのことを認識しており、特に女性や若い母親をターゲットにした商品の売り込みを始めているという。

 モントリオール(Montreal)を拠点に約5000人のメンバーを擁する、フェイスブックの別の母親グループ「マザーメアリー(Mother Mary)」の創設者で30代のジョルダナ・ザビツキー(Jordana Zabitsky)さんは、「一番多い質問は、『妊娠中に大麻を使用してもいいのか』ということ」「私は出産直前もかなりの量の大麻を吸っていたけど、とても良い経験だった。医師たちも皆、そのことを把握していた」と語った。

 だが大麻に関する著書のあるアントワーヌ・カナムギリ(Antoine Kanamugire)医師は、「向精神物質テトラヒドロカンナビノール(THC)の場合、母親の摂取量の10〜30%が、胎盤を通じて胎児の体内に取り込まれる」「大麻は、胎児の中枢神経系と免疫システムの発達に大きな影響を与える恐れがある」と指摘する。

 大麻は、母乳にも取り込まれるという。だがこうした警告によって、ザビツキーさんや彼女のグループに参加する母親らが大麻吸引を思いとどまることはない。彼女たちは、大麻使用が1世紀にわたり禁じられていたために、大麻の研究は遅れていると主張している。(c)AFP

https://www.afpbb.com/articles/-/3215855