かみね動物園(茨城県日立市宮田町5丁目)で飼育されていたカピバラの「まるお」(オス、1歳)が、「闘争」が原因で死んでいたことが分かった。温泉につかる様子などがよく報道され、「癒やし系」イメージのカピバラだが、激しい争いをする面もあるという。

 「死因・闘争による傷」。10月1日、展示コーナーにまるおの死を伝える紙が貼り出された。相手は兄の「おもち」(オス、4歳)だった。

 日没直前に2頭が移る寝床が現場。おもちは入り口側、まるおが奥側で、鉄製のフェンスで仕切られていた。9月27日朝、普段はまるおが寝る場所におもちがおり、まるおは入り口付近に横たわっていた。首には何カ所もかまれた痕があり、血も出ていたのですぐに獣医師に診てもらったが、すでに息を引き取っていたという。

 仕切りの鉄製フェンスにつけた扉が開かないようにする木製留め具を、おもちが壊して侵入したらしい。

 まるおは人なつっこい性格だったといい、「今までありがとう」などと書かれた手紙やメール、まるおの絵が園に届いた。園を訪れた北茨城市の柳生順子さん(31)は「自分から近づいてくるカピバラでかわいかった。まさか戦って亡くなるなんて」と驚く。

 同園には現在、6頭のカピバラがいる。まるおとおもちのきょうだいのメス4頭とその母親で、すべて親子関係だ。近親交配を避ける目的などで、同園ではオスとメスを分けて展示している。メスの群れにいたまるおが4月に1歳を迎えたため、おもちと一緒に展示したころ、背中をかまれ、再び引き離した。約5カ月経って傷も治り、徐々にお互いを慣らそうとしていた矢先に事件が起きた。

 飼育員の西野勇人さん(28)によると、草食動物のカピバラは性別にかかわらず、エサを求めて争うことはよくあるが、死なせるまでに至るのは珍しいという。ただ、同じ群れに複数のオスがいると関係が悪くなることがある。「兄弟という意識はあまりなく、ライバルのオスという認識で攻撃したのでしょう」と西野さん。「穏やかなイメージが強いが、野性的な部分があることも知ってほしい」と話した。

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朝日新聞デジタル
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