【どうする!?どうなる!?都民ファースト】都民ファーストの会は都議55人中、18人(32・7%)が女性で、都議会全体の女性議員も前回13年の25人(19・7%)から過去最多の36人(28・3%)に増えた。しかし、都議会には現在、議会欠席理由に出産の規定はあるものの、産休・育休の制度がない。

 都民ファには、妊娠4カ月で都議選に臨み当選した新人の後藤奈美氏(31、足立区)、西郷歩美氏(32、中央区)がおり、12月の定例会前後に出産予定。現在、妊娠7カ月目の後藤氏は、スポニチ本紙の取材に書面で「女性議員の妊娠・出産と議員活動の両立を支える諸制度の議論を深めていく必要があると思っている。当事者としての視点を政策に盛り込んでいけるよう取り組んでいきたい」と回答した。

 2人が出産で議会を欠席した場合、その間の議員報酬を返還する制度もない。有権者から「(出産で)休むことが前提の出馬は無責任」「報酬泥棒」という批判の声もあり、都民ファとしてもこの制度の構築に手をつけていくことが急務だ。

 在任中の08年に妊娠・出産した元都議・松下玲子さん(46)は当時、欠席理由に出産規定もなく病欠扱いだった。出産の2日前まで議会に出席。その後、2カ月間は子育てし、次の議会から復帰した。結果的に休んだのは3日間で「歳費を返還する仕組みがなく、全額支給された。病気で1年間休んでも満額もらった男性議員もいた。会社員のように産休で給料が支払われないような制度をつくるべき」と指摘する。

 都議会事務局によると、今年度の議員の月額報酬は81万7600円。期末手当は夏と冬合わせて391万2216円。政務活動費は1人当たり月額50万円の割合で会派に交付される。

 都民ファに対しては「小池知事の号令なしでは何も決められないのでは?」との声もある。それだけに、なんとしても出産や子育てと議員活動を両立させる環境をつくり上げたいところ。女性議員が増え、新制度をつくりやすい状況にある。ただ、新人が多く、どこまでできるかは未知数。他党との意見交換、意見集約はできるのか、有権者は目を光らせている。

 《労基法の対象外》国か地方かを問わず議員には労働基準法は適用させず、産前産後計14週間の産休や最長1年半の育休を規定する同法の対象外になっている。多くの議会では妊娠・出産への配慮としては会議欠席の理由に「出産」が認められるくらい。国会議員では、2000年に自民党の橋本聖子参院議員が出産のため国会を3日間欠席したのがきっかけで「産休」が認められるようになった。期間は自己申告で、歳費などは支給されている。

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