日本郵政が、傘下のオーストラリアの物流大手「トール・ホールディングス」の不振に伴い、2017年
3月期決算で巨額損失の計上を検討していることが20日、分かった。損失額は数千億円に上る可能性が
ある。資源価格の下落によって取扱量が減るなどし、トール社の収益が悪化したのが原因。損失を計上すれ
ば、政府が準備を進める日本郵政株の追加売却に影響が出る。

 日本企業による海外企業買収を巡っては、経営再建中の東芝が米原発会社で7千億円を超す損失の計上を
迫られるなど巨額損失の発生が相次いでいる。性急な事業拡大や円高に乗じた安易な買収戦略が裏目に出て
経営の打撃となっている。

 日本郵政が検討しているのは、トール社の買収時に発生した「のれん代」の評価引き下げだ。買収額が
会計上の純資産額を上回っていた部分で、将来的な収益力やブランド力を表すとされる。通常は段階的に
償却するが、価値が失われた場合には見直す必要がある。16年末は3860億円が残っている。このうち
数千億円を損失処理する可能性がある。

 日本郵政は20日、トール社の業績が計画に達していないとして、損失処理の要否を含め検討中だと発表
した。社内には損失計上は不要だとの意見もあり、関係者の間で調整を進めている。

http://www.sankei.com/economy/news/170420/ecn1704200027-n1.html