大阪IR、揺らぐ「世界最高」 全面開業時期は白紙…規模の大幅縮小も
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/210316/mca2103160926010-n1.htm

 大阪の統合型リゾート施設(IR)計画が揺らいでいる。府市が2月、IR事業者に求める条件を示した実施方針の修正案で、全面開業時期は白紙、展示場の規模は当初案の5分の1も可とするなど大幅に「下方修正」したためだ。誤算が続いていたところにコロナ禍がのしかかり、方針転換を余儀なくされた。府市が掲げる「世界最高水準のIR」実現は見通しにくくなってきた。

「開業は2020年代後半を想定」

 「施設の整備は段階的に行うことも可能」

 修正案では、19年の当初案で25年の大阪・関西万博前としていた開業時期は先送りし、全面開業の時期は明示しなかった。

 また「10万平方メートル以上を確保」としていた展示場施設は「2万平方メートル以上」に引き下げ。関西最大の展示場「インテックス大阪」(約7万平方メートル)に及ばない規模だ。「開業時には」との条件を付け、将来的な拡張は求めたが、経済状況次第で見直しも可能としている。

 国際会議場運営の専門家は「拡張するためには、着工時点で関連する基礎工事が必要になる。(10万平方メートルは)義務ではないのに、そこまでする事業者があるだろうか」と疑問を示す。

 大阪商工会議所の尾崎裕会頭は「最初に考えていたものと違うものになるのでは」と懸念する。

 参入事業体へ「配慮」

 大幅な修正がされた背景として、関西財界の関係者らは大阪のIRへ唯一、参入を表明している米MGMリゾーツ・インターナショナルとオリックスの連合事業体に対する「配慮」を指摘する。