現在も高成長路線にあり「数少ない国際競争力と成長性を残している産業」(業界関係者)の一つがファインセラミックス。政府方針であるマテリアル基盤技術強化にも合致し、環境対応部材や全固体電池の材料として再び注目を集めている。30年ほど前に「ニューセラミックス」ブームが巻き起こって以降、今日までファインセラミックスにかかわる企業や大学、関連団体などが研鑽と努力を重ねてきた。現在の潮流であるカーボンニュートラルも追い風となって、産業として、わが国のマテリアル成長領域で重要ポジションの一角を占めるようになった。

 一部ウェブ媒体などで「EV(電動車)化の進展で自動車向けセラミックス製品が斜陽産業に−」と、勉強不足の短絡的なニュースも時折流れるが、世界市場を見れば、新興国を中心に「ガソリン車」「ディーゼル車」は当面は高成長が続くだろう。これに装着されるセラミック排ガス触媒や各種セラミックセンサーは、複数の日本企業が世界市場を握っており、他国他社の追従を許さない。

 また欧米や中国などグローバル端末メーカーのスマートフォンやタブレットなどの電子部品向けセラミックスも、大半は日系企業が材料を供給している。高機能樹脂など、日系化学企業が高いシェアを持つ端末機器の材料と同じ構図だ。これにカーボンニュートラルの潮流が加わり、環境対応の浄化用フィルターや上水殺菌などでもセラミックス製品が再拡大している。

ファインセラミックの2大産地といえば京セラ、村田製作所の京都と日本ガイシ、日本特殊陶業、MARUWAの愛知、
清水焼の伝統がある京都と瀬戸焼の伝統のある愛知、
関西と東海地域の未来は明るい。