【Short Ver.】★☆・゜【D 交通・人流関連A】<東京のオフィス出社率指数の動向>【東京ビジネス地区】★☆・゜
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【要旨】 緊急事態宣言の解除後もオフィス回帰の動きは緩やか
・ニッセイ基礎研究所とクロスロケーションズがスマートフォンの位置情報データをもとに
 共同で開発したオフィス出社率指数をもとに、東京のオフィス出社の動向を確認する。
・オフィス出社率指数は、感染拡大の第1波に2020年4月22日に34%まで落ち込んだ。
 第2波以降は、政府の感染拡大防止策や感染動向を睨みながら、オフィス出社率指数は45%〜65%の範囲で推移した。
・2021年9月30日に緊急事態宣言が解除されると、10月以降のオフィス出社率指数は55%〜60%程度で推移し
 10月末時点(10月29日)で60%となっている。

◆図表1:東京のオフィス出社率指数と新規陽性者数の推移
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1つ目の特徴は、緊急事態宣言中は、新規陽性者数が減少してもオフィス出社率指数の上昇は小幅にとどまることである。
2つ目の特徴は、新規陽性者数の増減や政府の感染拡大防止策に対するオフィス出社率の感応度が、第2波以降低下したことである。
一方、ワクチン接種が進展し、新規陽性者数が急減したにもかかわらず、足元のオフィス出社率指数の回復は鈍い。
その要因としては、感染再拡大による第6波への警戒感が強いことが挙げられる。
また、一部の企業が、すでに在宅勤務を取り入れた新しいワークスタイルに移行したことで、
オフィス出社率が構造的に下押しされている可能性がある。

◆図表2:業種別に、縦軸に東京圏のオフィス拡張移転DI、横軸に売上高の前年比変化率を示している。
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オフィス拡張移転DIはオフィス移転の成約データをもとに、三幸エステートとニッセイ基礎研究所が共同で作成し、
0%から100%の間で変動し、基準となる50%を上回ると企業の拡張意欲が強いことを、
50%を下回ると縮小意欲が強いことを表す指標である。

◆図表3:東京16エリアのオフィス出社率指数
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オフィス出社率が高い3エリアは、湯島・本郷・後楽(68%)>目黒区(68%)>代々木・初台(67%)となっている。
これらのエリアは、東京オフィス市場の周縁エリアで、中小規模のテナントが多い。
また、テレワークとの親和性が高い金融・保険業や、法律・会計事務所やコンサルティング企業などの専門サービス業、
情報通信業などが少ないエリアでもある。

オフィス出社率が低い3エリアは、浜松町・高輪・芝浦(43%)>丸の内・大手町(48%)>麹町・飯田橋(49%)となっている。
浜松町・高輪・芝浦は、テレワークと親和性が高いとされる産業の比率が高いわけではないが、大企業が多く所在しているエリアである。
また、丸の内・大手町は、金融・保険業と専門サービス業の比率が高く、大企業が多い。
なお、麹町・飯田橋は、中小規模のテナントが多いが、専門サービス業が占める割合が大きいエリアである。