重要文化財に旧松坂屋大阪店(高島屋東別館) 戦前期屈指の大規模百貨店 2021.5.21 17:00

 文化審議会は21日、昭和39年の東京五輪を象徴する建造物の一つで、丹下健三氏の名建築として知られる代々木競技場(東京都渋谷区)など7件を重要文化財に指定するよう萩生田光一文部科学相に答申した。

 このうち、大阪市浪速区の旧松坂屋大阪店(高島屋東別館)は、南海電鉄難波駅周辺の商業地区にあり、鉄骨鉄筋コンクリート造、地上7階(一部8階)建て地下3階の建造物。

 数々の百貨店や銀行などの設計を担った建築家、鈴木禎次氏が昭和3年に手掛けた代表作の一つで、戦前期の国内屈指の大規模百貨店だった。同43年以降は高島屋東別館となり、現在も宿泊施設や史料館として活用されている。

 外観は、大阪の都心部を縦断する堺筋に面した西側を特に豊かに装飾しているのが特徴で、直線と渦巻き、草花文(くさはなもん)などの伝統的な模様の彫刻を多用。黒大理石などを取り入れたアーケードや玄関ホールの大階段などに建造当初の意匠が残っているという。

 関東大震災などの経験に基づき、防火上の弱点となる吹き抜けは作らず、避難専用階段を設けるなど、当時としては最先端の防火対策も施された。

 戦前期の大阪を象徴する商業地区の都市景観の形成に寄与し、近代の百貨店建築の歴史を知る上で貴重と評価された。

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