開業時期は白紙、規模大幅縮小も 誤算続きの大阪IR 揺らぐ「世界最高水準」
https://www.sankei.com/economy/news/210303/ecn2103030002-n1.html

 大阪の統合型リゾート施設(IR)計画が揺らいでいる。大阪府市が2月中旬に示したIR実施方針の修正案で、全面開業時期は白紙、施設規模は当初構想の5分の1も可とするなど大幅に「下方修正」した。
誤算が積み重なったところに、コロナ禍が引き金を引いた格好だ。府市が掲げる「世界最高水準のIR」は見通しにくい状況になっている。(黒川信雄)

 あいまいな計画
 「開業は2020年代後半を想定」
 「施設の整備は段階的に行うことも可能」
 修正案は開業時期や規模に関し、あいまいな表現に終始した。
 19(令和元)年の当初案で2025年の大阪・関西万博前としていた開業時期は先送り。段階的に整備するとしたことで、部分開業を容認した。また「10万平方メートル以上を確保」
としていた展示場施設は「2万平方メートル以上」に引き下げた。
関西最大の展示場「インテックス大阪」(約7万平方メートル)にも及ばない規模だ。

 「開業時には」との条件を付けており、15年以内をめどに6万平方メートル以上、35年以内に10万平方メートル以上への拡張を求めてはいる。ただ、経済状況次第で見直しも可能とし事実上、拡張なしも容認した。
 国際会議場運営の専門家は「将来の拡張には、着工時点で関連する基礎工事をやっておく必要がある。
(10万平方メートルは)義務ではないのに、そこまでする事業者があるだろうか」と疑問を示す。
 大阪商工会議所の尾崎裕会頭は「最初に考えていたものと違うものになるのでは」と懸念する。

 また、IRの収益の柱となるカジノに関し、MGMはオンライン事業に軸足を移そうとしている考えも浮き彫りになった。場所が不要なオンラインカジノでは、大阪参入にこだわる必要もなくなる。
 MGM・オリックスはどう動くか、新たな応募事業者は現れるのか。9月が見込まれる大阪のIR事業者選定に向け、目の離せない状況が続く。