横浜市も民間施設も、やがて来る地震に備え、かなり高い意識を持っていることがわかる。裏返せば、横浜の人々にとって巨大地震はそれほど差し迫った危機なのだ。だが、地震や防災の専門家から「まだ不十分ではないか」と疑問の声が上がっていることも事実だ。

「避難所の数が全然足りません。震度7だった熊本地震では事前想定を大きく上回り、結果的に855ヵ所も避難所を開設しました」

政府が設置した災害検証委員会の委員長も務めたことのある河田氏はこう続ける。

「横浜市で考えると、観光で滞在する人も含めれば昼間人口は500万人超となります。それが一挙に避難するとなると想定していたよりも必要な避難所の数は遥かに多くなる。結果的に、地元住民は避難所に入れず、救援物資も不足し、自給の生活を強いられることになります」