>>663 続き

東京の人は危険な場所に
高いお金を払っている
 一方、地方の昔ながらの中心市街地は、もともと城郭があったところに広がっています。
権力者が住むお城は、必ず安全な高台に構えられていました。その付近に武家屋敷をはじめ、
城を守る寺社や町人が住む集落が集まっていた。危険な場所には近寄らないのが、昔の人々にとっては当然だったのですね。

 田舎っぽい名古屋はいまでもその都市設計を変えることなく、都市を支えるインフラ企業や主要産業、
住宅街の多くが台地の上にあります。

――先人の知恵ですね。

 そうしないと生き残れませんでしたから。日本は4つの火山プレートの境界というすさまじい位置にあって、
地震が多いうえにアジアモンスーン地帯で台風の通り道になっていて、土砂災害もある。
世界に類を見ない災害のデパートとも言える国です。だからこそ、自然との付き合い方を通して独自の文化を作り上げたんですね。

 安全な台地の上に集落を作り、丘陵地のふもとから湧き出る水を使って低地で田んぼを耕す。
山や海に出掛けていっては豊かな幸を獲る。それが代々続けて来た日本人の暮らし方なのです。しかし、
明治以降になって蒸気機関車を通すときに、火の粉や煙、騒音もあるので人が住まない場所に線路を敷いた。
ですから、いまでも線路沿いは地盤の悪い場所が多いんです。駅前一等地の高層ビルなんて、防災上は最悪ですね(笑)。

――危険な場所に高いお金を払っている。

 それは価値観の違いです。安全な暮らしがいいのか、刺激的で楽しい暮らしがいいのか。
東京は後者を選ぶ人が圧倒的に多いのでしょう。私はもちろん安全なほうがいい。だから名古屋に住んでいるのです。