>>661  続き

お話を伺っていると、東京に住むのが怖くなってきます。

 実際、東京というのは全国で最も防災・減災意識の低い場所ですよ。私は主要紙の東京版と大阪版、名古屋版で「防災」「耐震」という
キーワードのヒット件数を比較したことがあるのですが、他の都市に比べると東京版は半分以下しか記事がありません。

 この理由はおそらく、東京に住む人たちの「地元意識の低さ」ではないでしょうか。
大半の人が地方から移住してきて、
また移動する可能性も高い「仮住まい」でしょう。土地に根差していないので、例えば引っ越し先を市や町名でなく駅名で選ぶ。
マンションに住んで近所付き合いをしない。子どもを地域の学校に入れず、私立学校に入学させるといった、
田舎では考えられないことが常識になっています。

 こうした「地域に根差さない感覚」が、危険な場所に平気で重要な施設を建てたり、
危険と知らずに人々が住んだりする行動につながっていると思います。

――東京で大きな地震が起きたら、大パニックになりそうです。

 このままだと、そうなるでしょう。1923年に起きたマグニチュード7.9の関東大震災では、東京でおよそ7万人の死者が出ました。
元禄時代の元禄関東地震では同程度の震度でおよそ350人の死者でしたから、200倍近くの被害です。

 その間に何が起きたのかというと、もともと武蔵野台地を中心に住んでいた東京の人々が、
入り江や川を埋め立てて、いわゆる下町に住む場所を広げていったのです。ですから、いま言われている東京への一極集中の解決と地方創生は、
震災対策という視点から見ても急務です。
理想的なのは、各地域が人口や経済はもちろん、エネルギーや食糧といった面でも自律、分散しながら、いざというときに協調できる社会です。

――東京に住む人が増え、地盤のゆるい場所にも平気で住居を構えたので、震災のリスクが高くなっている。リスクを減らすには、分散して住むことが大切なのですね。

 軟らかい地盤の上に立つ建物はよく揺れます。また、高層ビルのような軟らかい建物もよく揺れます。ですから、軟らかい地盤の上に軟らかい建物を建てると、ますますよく揺れるのです。

 現在の建築基準法では、地盤や建物の固さによる揺れの違いは考慮されず、ある一定の設計基準を満たせば許可が下りてしまいます。地震の被害が大きくなる条件は、
「やわらかい地盤である」「軟らかくて揺れやすい建物である」「家屋が密集していて燃えやすい」「人が多く住んでいる」「低いところにあって津波や水にやられたり液状化したりする」。
これらの条件があてはまる場所が最も多いのが、東京です。