タワマンの実態は「超高層レオパレス」 脆弱な外壁と修繕不可で“45年限界説”
2020年3月20日 11時0分 デイリー新潮

テレビや新聞、雑誌を始め、メディアで盛んに取り上げられたのが、神奈川県川崎市の武蔵小杉に
あるタワーマンション2棟の浸水被害だった。下水が逆流して、電気が使えなくなるなど、
一時的に「住めない」状況に追い込まれた。
 被害が発生した10月13日からネット上で「トイレが使えない」、「ウンコ禁止」
などあからさまな表現の書き込みが猛烈な勢いで拡散。続いて、メディアの取材が殺到した。

 2棟のうち1棟は被害が比較的軽微で、数日のうちにほぼ復旧した。だが、「エレベーター使用不可」、
「全階住戸内でのトイレ使用禁止」になった47階建てのタワマンでは、一応の復旧までにさらに1カ月近くかかったようだ。
 戸建てに比べて、最新の設備を誇るタワマンは「災害に強い」というイメージがある。
たしかに、地震で倒壊したり、水害で流されたりする心配は少ない。しかし、水も電気も来なくなれば、
階段を何階も昇り降りしなければならない厄介な住宅なのだ。
 タワマンは基本的に災害に弱い。そう考えるべきだろう。
 台風19号は「100年に1度」とも称される激甚災害だった。タワマンの被害だけをあげつらうのは酷だという向きもあろう。
しかし、タワマンの脆弱性は、何も災害時にかぎった話ではないのである。
 タワマンとは一般的に、20階以上の集合住宅のことを指す。不動産や建築の専門家でもない限り、
タワマンとは普通のマンションの階数を高く作ったもの、くらいにしか理解していないだろう。
 ところが、タワマンの構造は19階以下の板状マンションとはかなり違う。その違いを分かりやすく言えば、
タワマンは「超高層レオパレス」ともいうべき代物なのだ。
外壁も戸境壁も脆弱
 レオパレス21が建てた多くのアパートの外壁や戸境壁が、建築基準法に満たない薄い構造に
なっていたことはご存知の通りである。タワマンの外壁や戸境壁は、建築基準法を一応クリアしているものの、
そこにはほぼ鉄筋コンクリートが使われていない。
 まず外壁に使われているのはALCパネルというもの。これは「高温高圧蒸気養生された
軽量気泡コンクリート」の頭文字をとって名付けられた建材で、「コンクリート」という名称を用いているものの、
一般的なコンクリートとは似て非なるもの。軽量で丈夫な外壁パネル素材である。
 そして、戸境壁に使われているのは乾式壁と呼ばれる素材。ここにもコンクリートは使われていない。
分かりやすく言えば分厚い石膏ボードのようなもの。
 私のところにマンション購入の相談にやってこられたある方は、財閥系大手が都心の一等地で開発分譲した
大型のタワマンに、賃貸で住んでおられた。その方がおっしゃるには「隣の人がくしゃみをしたら、
分かるんですよ。60万円も家賃を払っているのに」。掃除機をかけていても分かるらしい。それが乾式壁というものなのだ。
 このALCパネルや乾式壁は、建築時には便利な建材だ。何といっても工場で大量生産したものを、
現場で嵌めこめばいい。鉄筋や鉄骨を組んで、コンクリートを流し、乾かす必要がないのだ。だから、
外壁や戸境壁を鉄筋コンクリートで作る通常のマンションなら、1層分を作るのに約1カ月かかるところ、タワマンの建築はひと月で2層出来てしまう。
 タワマンの建設現場をご覧になったことのある方は、その建設スピードに驚かれたはずだ。
タワマンはあっという間に空に向かって伸びていく。なぜなら、太い柱と床さえ鉄筋コンクリートで固めてしまえば、
あとは工場から運ばれてきたALCパネルや乾式壁を嵌めこんでいけばいいのだから。
 このように施工はやりやすいのだが、中長期で考えるとタワマンの構造は厄介だ。通常のマンションは床と
外壁の鉄筋コンクリート部分が継ぎ目なくつながっている。強力な地震で外壁に大きなひびでも入らない限り、雨水が浸入することはない。
しかし、外壁にALCパネルを使っているタワマンは、いってみれば継ぎ目だらけ。
継ぎ目にはコーキング剤と呼ばれる、接着と防水機能を持った粘液が使われる。これが固まって
雨水の浸入を防ぐのだが、このコーキング剤は15年程度で劣化するとされている。だから、15年に1度程度、
古いコーキング剤を掻き出して新しいものを注入しなければならない。
 つまり、タワマンはその構造的に15年に1度程度の外壁修繕工事が必須になるのである。