市が郊外の再生とともに注力するのが、JRや私鉄など計6路線が集まる都心・三宮の再整備だ。駅前にオフィスやホテルが入る高層ビルを建設し
、下層部に西日本最大級のバスターミナルを整備。JR西日本や阪急電鉄も駅ビルを建て替え、商店街「三宮センター街」の
商業ビル3棟も再整備を検討する。駅の南側にある市役所2、3号館も複合ビルに建て替える。
 こうした三宮の再整備構想は震災前にまとまっており、公表を目前に控えていた。だが、震災後、復旧・復興の費用を賄うために発行した1兆5000億円超の市債が財政を圧迫し、構想は凍結。ニュータウンの再整備にも着手できないままだった。
 神戸市の人口は2011年に減少に転じ、15年に福岡市、今年5月には川崎市に抜かれて、全国7位に転落。12月1日現在、152万2964人にとどまる。人口減は地域経済の停滞も招き、市内の事業所数は6万9700と、震災前から2割近く減った。
 復興に携わった市OBは「財政は破綻寸前。街は常に進化していかなければならないのに新しいプロジェクトに手を出せず、どんどん遅れていった」と悔やむ。
30年計画
 震災から四半世紀を経て借金の返済が進み、市はようやく再整備に動き出した。だが、ライバルには大きく引き離されている。
 大阪では、JR大阪駅前に大型商業施設「グランフロント大阪」が開業し、新たな商業ビルの建設も計画されている。訪日客に沸く京都でもJR京都駅一帯を中心にホテルの建設が相次ぎ、名古屋市や福岡市も駅前の再開発が進む。
一方、三宮の再整備は30年に及ぶ長期計画で、成果に結びつくまで時間がかかる。兵庫県内の被災地でも、大阪に近い西宮市や尼崎市の再開発が先行しており