アパが2千室超のホテル 横浜最大規模、幅広く集客

アパグループ(東京・港)が2千室超と横浜最大規模のホテルを、20日馬車道に開業した。プールやジムなど館内施設を充実させる一方、正規の室料は1泊1万8000円からにし、幅広い集客を目指す。

横浜はこれまで、東京に近いことから宿泊客が少なく、ホテルの数も多くなかった。だが最近は、アパ以外にも新設が相次いでいる。横浜のホテル事情は変わるのか、その動きを追った。


インペリアルスイートルームは広さが120平方メートル(横浜市)
「絶好の立地だ」。アパグループの元谷外志雄代表は、みなとみらい(MM)21地区の商業エリアと横浜中華街などの観光エリアの中間に位置する「アパホテル&リゾート 横浜ベイタワー」をこう話す。

「ビジネス、国内観光、インバウンド(訪日外国人)のすべてを取り込める総合ホテル」(元谷氏)を目指し、高い稼働率を実現する戦略だ。

地上35階、地下2階のタワーは、高層ビルが増えた横浜でも目立つ存在だ。全2311の客室にはみなとみらいの夜景を一望できる部屋や120平方メートルのスイートルームなどがある。

館内には屋外プールやジム、エステサロンのほか、露天風呂も備えて、宿泊客がリラックスできるようにする。外国人客を意識し、日本製の雑貨を集めた店も設けた。

一方、正規料金の設定は、シングルで1室1万8000円からとした。ホテル周辺には企業のオフィスが多く、2020年には横浜市役所も移転してくることから、ビジネス客の需要も増えるとみて値ごろ感を訴求していく。

施設を充実させながら料金を抑えることで、年間170万人の宿泊客獲得を目指す。

約8000平方メートルの敷地は15年、都市再生機構(UR)の一般競争入札で買い取った。投資額は非公表としているが、元谷氏は「高くても利益の出るところに投資していくほうがいい」と話す。

他社からは投資の回収がより早くしやすいとされるマンションとの併設を持ちかけられたが、需要が見込めるとしてホテルだけにした。

こうしたアパの新ホテル開業に、横浜の既存ホテルは「影響がないとは思っていない。ただ、横浜の来街者が増えることが重要で、アパは広告宣伝も含めて力があるので、地名が広く発信されることは非常に大きい」とする。

18年では延べ年間733万人だった横浜市での宿泊客を奪い合うのか、それとも新たな利用者を呼び込む存在になるのか、慎重に見極める姿勢だ。

アパでは新ホテル開業を記念し、宿泊料金を割り引く。例えば通常は1泊30万円からのスイートルームを、10万円以下で提供する。

まずは新ホテルの認知度を高め、利用客を獲得していく考えだ。