橋下元市長・・

【日本の解き方】大阪府の財政再建巡る論争 地方の「赤字債」増加の裏に国の借金を形式上肩代わり

橋下氏が大阪府知事になった2008年以降、大阪の復活ぶりは各種の
経済指標からも確認できる。企業収益、雇用、年収、健康、学力、
犯罪などほとんどの指標で改善している。
府政を批判する人たちは、府の負債残高が増えていることを問題視した。
そこで橋下氏は、「臨財債を除くと減少している」と反論し、
臨財債が注目されたのだ。

この仕組みは01年に遡(さかのぼ)る。その当時、国の地方自治関係
の借金が約50兆円あった。
交付税交付金で地方自治体に払った分と、交付税交付金の原資となる
主要国税の3分の1の収入との差額であり、その分は国の交付税特別会計の借入金として処理されていたものだ。
その国の借金を地方自治体の借金(臨財債)で肩代わりすることとなった。
形式的には自治体の債務だが、国に交付税措置義務があるので
実質的には国の債務である。
肩代わりは順次行われているので、各地方自治体の臨財債は増加し、
総額50兆円程度になるのは当然のことだ。
これを、地方自治体で赤字債が増えていると報道するのは、
ミスリーディングである

大阪府債の総債務残高を見ると、08年以降若干増加したり減少している。
しかし、臨財債を除くと見事な減少になっている。
これは、大阪府の財政状況がかなり好転しているからだ。

橋下氏の主張は正しい。

6年ごろ、筆者は総務大臣補佐官の時、公募地方債の金利自由化に関わった。
当時の太田房江知事から、大阪府は財政状況が悪いので発行金利が上昇して困るという苦情があった。
その際の大阪府債の発行コストは最上位の地方債に比べて0・2%程度の金利上乗せだったが、
今や0・06%程度しかない。市場からみても、大阪府の財政事情は改善している。
形式的に臨財債は地方自治体の債務であるが、実質的にはそうみていないのだ。 


(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/190119/soc1901190005-n1.html