離れていてもチームワークを発揮する文化をつくる

 資料などをクラウド化してペーパーレスを実現し、どこにいても気軽にコミュニケーションできるチャットやテレビ会議を導入すれば、社内の業務はかなり効率化されます。

 これでテレワークを始める準備が整いました。数日間オフィスに行かなかったり、社員が地方に移住したとしても、それなりにうまくいくはずです。しかし、長くやっていれば問題が出てきます。

 やはり物理的に離れて、顔を合わせずに働いていると、孤独感を感じてしまいます。自分ひとりで働いているんじゃないかという気持ちになるし、気軽に相談するにも気が引けてくるでしょう。チームワークが落ちてしまうのです。

 私たちが取り組んだのは、一緒に働いている互いの様子を「見える」ようにするということでした。普段はノートPCを使って仕事をしているので、その備え付けのカメラを使って、仕事中の様子を撮影して共有するツールRemottyを導入しました。

 とりたてて何か話をするわけでもなく、みんなが座席に座って仕事をしている様子が見えるだけです。それでも、自分一人で働いているんじゃないという安心感を得ることができるようになったのです。
そのことは生産性を高めるという「心理的安全」につながっていたのです。

 全員がRemottyにログインして仕事をするようになると、まるでオフィスで働いているような感覚になってきます。出社するという業務をハックしたのです。そして、もはや普段の仕事だけでなく、飲み会でさえもテレビ会議を活用して行うまでになってしまいました。

業務ハックで働き方を変える3つのステップ

 そうして私たちはオフィスをなくして、どこで働いてもチームワークを保ったまま、高い生産性を実現することができるようになりました。

 スノーボードが好きで長野に移住してしまった社員、旅が好きで海外を旅しながら働く社員、実家と東京の2拠点に居住する社員などがいますが、何一つ困らずに働いています。

 少し補足をしておくと、本社オフィスはなくしてしまいましたが、来客などのために事務所利用できるマンションを東京・自由が丘に借りています。遠方で仕事をしているメンバーが東京に来るときの滞在場所としても使っています。

 私たちは普段オンライン上で働きますが、実際に会うことを禁止しているわけではありません。むしろ、合宿をしたり社員旅行をしたり、特別な機会として会うことを用意しています。オンラインで働けるからこそ、補完的に会うことを大事にしています。

 おさらいすると、以下の3つのステップアップで業務ハックをしてきました。

1.クラウド化することで情報の保存と共有を効率化
2.チャットとテレビ会議でコミュニケーションを円滑化
3.仕事している様子の見える化で心理的安全を創出

 私たちの今の働き方は、こうした業務ハックの結果に過ぎません。

 新しい働き方や理想の働き方を目指すのもいいのですが、まずは目の前の情報共有やコミュニケーションの効率化や円滑化、それを支えるカルチャーなどを業務ハックしていくことから始めましょう。

筆者:倉貫 義人