80年代頃、「エビフリャー」「ミャーミャー」などの名古屋弁模写はタモリさんの十八番の
ひとつでした。この頃のタモリさんはきわめて毒気の強い芸風を特徴とし、
名古屋はその強烈なブラックジョークの格好の標的でした。
ちょうどこの当時から、名古屋は「大いなる田舎」「ジョークタウン」「日本3大ブス産地」
といったありがたくないレッテルを貼られ、メディアから揶揄の対象とされることが多くなっていました。

加えて名古屋人のトラウマである1988年のオリンピック落選をタモリさんがネタにしたこともあり、
名古屋においてタモリさんは「名古屋イジリの元凶」「仇敵」と強く印象づけられることとなったのです。

そして数十年の時を経た今。名古屋に対するネガティブな報道は、ゼロ年代の名古屋経済の絶頂期なども
あって長らく影を潜めていた感がありました。ところが、昨年の「行きたくない街ワースト1」の
アンケート結果や週刊誌の「名古屋ぎらい」報道で、またぞろ名古屋を面白半分にイジる風潮が
ふってわいたように復活してしまいました。つまり、現在のメディアでの名古屋の扱われ方は、
タモリさんが盛んに名古屋をネタにしていた80年代とよく似た状況にあったのです。

そして名古屋人の心境は、内容を真に受ける・受けないにかかわらず、「魅力がない」
「嫌われている」との世間の声を嫌が応にも気にせざるを得ない状況にあった、と言えます。