理彰氏と女子大生のやり取りはチャットツール「LINE」上でも「証拠」として残っており、「あなたの能力ではうちの会社には受からないから、私と特別な関係を持てば、親戚扱いにして入社させてやる」といった趣旨の発言をし、嫌がる女子大生に迫っている。
そして、その女子大生が断ると、「採用は絶対にない」「友達を紹介してください」といった返事を送っている。強要とみられても仕方ない行為といえるだろう。

 この問題については、すでに雑誌「週刊金曜日」(金曜日)が報じており、同誌によると、女子大生がアイシンAWの面接試験に落ちた直後に、父親宛に匿名の手紙が届き、娘を誹謗中傷し、脅迫と見られても仕方ない文面が書かれていたという。卑劣極まりない。

●問われる一流企業としての「責任」
 この理彰氏、「甘やかされて育って、大人になっても自制心が利かない。仕事にも前向きではない。会社も創業家ということで特別扱いして、ちやほやしている」と指摘する名古屋の財界関係者もいる。
私立大学卒で年齢も40代前半だが、特別扱いの昇格によって役員直前のポストに就いている。
 今後、訴訟や社内調査などにおいて理彰氏の行為が事実と認定されれば、通常の企業であれば懲戒処分は免れないし、場合によっては懲戒解雇もあり得るが、おそらくアイシンAWはうやむやにして握り潰すだろう。会社側にも甘やかせてきた道義的責任は十分にあるのではないか。

 現在、トヨタはアベノミクスのよる円安の恩恵を受けて、業績は絶好調で過去最高益を更新している。
このため、トヨタグループの下請け企業もその恩恵にあずかる一方で、グループ内には「緩み」「驕り」も出始めている。
系列販売店でも、名古屋の高級ホテルで常軌を逸した懇親会を実施して、急性アルコール中毒の社員が続発、ホテルから今後の出入り禁止の要請もあった。