【集客力低下「名古屋・栄」は“居住地域”で復活するか】
毎日新聞 2017年5月11日
https://mainichi.jp/premier/business/articles/20170510/biz/00m/010/007000c

中村智彦 / 神戸国際大学教授

■名古屋の街並み大変化(2)

 名古屋市は、名古屋城(中区)を中心に栄えた歴史を持つ。明治時代に鉄道が敷設された際には、
城下に住宅や建物が密集していたことから市街地の南の外縁部を回り込む形になった。中心地の
栄地区(中区)は、JR東海道線・名古屋駅(中村区)とJR中央線・千種駅(千種区)のほぼ中間に位
置し、いずれの駅からも地下鉄かバスを利用する必要がある。それぞれ1キロほどの距離だ。

 20年ほど前までは、名古屋駅周辺に飲食店や物販店が少なかった。「知人が名古屋駅に夜9時
に着くので早めに迎えに行ったが、コーヒーを飲むところもなかった」といった話が普通に聞かれた。
会食や買い物となれば、栄に集まるのが当然だったのだ。

 ところが、ある東京の経営者は、「15年ぶりに名古屋に行ったら、駅前がすっかり変わっていて驚
いた」と言う。近年、名古屋市内の人の動きは大きく変化した。そのきっかけが、前回紹介したJRゲ
ートタワーの開業など、名古屋駅周辺の再開発の進展だ。

■名古屋駅東側のビル建設ラッシュ
 名古屋駅周辺は、1960〜70年代の高度経済成長期にオフィスや商業ビルが建築され、老朽化
が進んでいた。そのため2000年前後から、次々と新たなビルへの建て替えが進んだ。主要なビル
を紹介してみよう。

名古屋駅前の高層ビル=2017年2月19日、木葉健二撮影
http://cdn.mainichi.jp/vol1/2017/05/10/20170510biz00m010002000p/9.jpg

 99年にJRセントラルタワーズが完成し、ジェイアール名古屋タカシマヤ、名古屋マリオットアソシア
ホテルが開業した。ジェイアール名古屋タカシマヤは、駅の中央コンコースに直結する百貨店だ。

 02年12月には、駅南東側にあった都ホテル跡地に総合商社・豊田通商名古屋本社として「センチュ
リー豊田ビル」が完成した。06年9月には、駅東側に「ミッドランドスクエア」が完成。中層階はオフィス
で、低層階に高級ブランド店、トヨタ自動車のショールーム、上層階には高級レストランが入居し、話題
になった。

 07年1月には、名古屋鉄道、中部電力、トヨタ自動車が共同で駅北側に「名古屋ルーセントタワー」を
完成させ、トヨタ自動車や関連企業など多くの企業がオフィスを設けた。08年3月には、駅南東側に独
特な外観の「モード学園スパイラルタワーズ」が、三井不動産と名古屋モード学園の共同で完成。09年
10月には、駅東側にあった中小企業センター跡地に複合施設「ウインクあいち」(愛知県産業労働セン
ター)が完成し、行政機関や会議室、展示場の他、商業施設も開業した。

 その後も、ウインクあいちの南側に「名古屋クロスコートタワー」が12年7月に開業。16年3月、駅東
側の大名古屋ビルヂングが改装オープンした。名古屋駅東側の風景は00年前後から大きく変わった。
大規模オフィスビルの開業や商業施設の増加が、名古屋駅の集客力を高め、周辺地域に飲食店など
が急増したのだ。