新幹線の金沢駅/本物の工芸で迎えたい

JR金沢駅で北陸新幹線の駅舎の新築工事が本格化した。
内装には地元の要望を受けて 伝統工芸を生かす方向になっている。
伝統工芸は石川県の魅力であり、強みである。
内装に伝統工芸品を使うことは予算の制約で難しいため、模造品の使用が検討されたが、県と金沢市は本物の採用を目指して産地や関係者に協力を求めている。
本物の美や味を楽しむために金沢を訪れた人が最初に降り立つ駅で模造品を見るのでは興ざめだろう。
石川の玄関口となる駅舎では模造でなく、本物の工芸で遠来の人々を迎えたい。
伝統工芸を取り巻く環境は景気低迷や生活様式の変化で厳しい。
それでも産地や関係者がもてなしに協力してくれるのであれば、その心意気に応える配慮が県や市に求められるだろう。
新幹線の駅舎に伝統工芸品を活用することは、開業効果を引き出すために県が設けたSTEP21県民推進会議などで提案された。
駅舎を建設する鉄道建設・運輸施設整備支援機構は模造の工芸品を活用する案を示す一方で、提供があれば本物を使う意向も示した。
これを受けて県と金沢市は生産組合などに協力を打診している。
鉄道・運輸機構は駅舎の内装に金箔(きんぱく)のパネルや加賀友禅風のプリント、輪島塗や九谷焼のレリーフなどを使うという。
これらの装飾に本物の伝統工芸品を使えば、他のどの駅にもない個性となる。
新幹線の開業効果を広げるために金沢だけでなく、能登や加賀の工芸も採用してもらいたい。
金沢駅は鼓を模した「鼓門」とガラスの「もてなしドーム」が精彩を放っている。
昨年 は米国の旅行誌から「世界で最も美しい駅」の一つに選ばれた。
鼓門もドームも完成したころは見慣れない光景に賛否両論があったものの、今では金沢の顔になっている。
その駅舎の内装に地元の伝統工芸品が採用されれば話題になるだろう。
伝統工芸は国内 各地だけでなく、世界から人を呼ぶ力を持つ。駅舎が長く評価される建物になるためにも、本物の伝統工芸品の活用を実現させたい。

http://3coco.org/a/modules/d3pipes_2/index.php?page=clipping&;clipping_id=13525