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東京は特殊な「上げ底都市」である。世界的な金余りの中、内外のアブク銭が
入ってくる。地方都市が弱体化する中で、資金や人材の待避所としてぎわいを
呈している。
 長期的都市経営の観点からは、私は関西より東京の方がリスキーと見ている。
東京は地方の若者を受け入れ、彼らの労働力と消費に依存してきた。若者が
減少すれば一気に逆サイクルに陥る。空き家が急増し、商業も損益分岐点を
一気に下回る。ヒトの一生にたとえれば、若い頃の不摂生がたたり中年に
なっていきなり大病発症、という感じか。
 これに比べれば、関西は「一病息災」。いつも具合が悪いとぶつぶつ言う
けれど、しぶとい。まるでヨーロッパ!関西の失業率や中小企業の不振は確かに
問題だが、これは西欧や米国の産業都市が70年代から80年代にかけて経験した
ことだ。ヨーロッパではリバプールやグラスゴー、ビルバオなど、米国では
クリーブランドやバルティモアなどかつての「煙の都」は軒並み、衰退を経験
した。  
だがリバプールはビートルズを生み出し、グラスゴーは北欧の人たちにの
ベニスと呼ばれる観光地になった。ビルバオはニューヨークのグッゲンハイム
美術館を誘致し、文化都市への転換を果たした。