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【愛知】コロナ困窮者への国貸し付け金、県社協が基準緩和せず減額

2021年3月10日 05時00分 (3月10日 09時14分更新)会員限定

 県は九日、新型コロナウイルス感染拡大の影響で困窮している人に特例で生活費を貸し付ける国の「総合支援資金」について、貸し付け業務を担当する県社会福祉協議会が、審査基準の緩和を求めた国の通知に従わず従来通りの基準で審査し、約三千三百人の申請を減額したり却下したりしていたと明らかにした。県は「福祉的な配慮に大きく欠ける」として改善を指導。県社協は追加の貸し付けなどの救済措置を設けるとしている。

 県議会二月定例会の議案質疑で、犬飼明佳議員(公明)の質問に答えた。

 総合支援資金は、日常生活の維持が困難になった低所得世帯の生活を立て直すための資金を貸し付ける制度。最大三カ月で、二人以上の世帯は計六十万円、単身世帯は計四十五万円まで借りられる。厚生労働省がコロナ禍で収入が減った世帯にも特例で対象を拡大した。

 県の調査によると、県社協は昨年三月下旬から今年一月末までに一万三千七百四十五件の貸し付けを決定。うち三千人について、世帯の収支状況などを理由に貸付額を減額した。別の三百人については、住宅ローンなどの債務があって返済が見込めないなどとして、申請を却下した。

 国はコロナ禍の特例措置であることを踏まえ、申請者の希望額を尊重した貸し付けをするよう通知していたが、県社協は従来の審査基準を適用していた。昨年九月、「県社協の貸し付け審査が厳しく、希望額を借りられない」との訴えを受け、県が改善を指導。しかし、その後も窓口業務を担当する市町村の社協に圧力をかけて申請額を減額させるなどしていたことから、県が二度目の改善指導に踏み切った。

 県社協の梅村文彦事務局長は「担当部署が特例措置の弾力的な運用に考え方を切り替えられなかった。今後は基準を見直す」と説明。減額や却下された申請者には救済措置の通知を郵送し、追加の貸し付けが受けられるようにする。

 (浅井俊典)