「どちらが先に逝くのかと心配していた」。
平成17年11月、大阪市浪速区で姉妹を殺害した山地悠紀夫死刑囚(25)の死刑が執行された28日、
姉妹の父、上原和男さん(60)が取材に応じ、「人間として最低の言葉かもしれないが、望んだ結果だった。それ以上でも以下でもありません」と静かに語った。

奈良県平群町の住宅街にある姉妹の実家。白い布に包んだ姉妹の遺骨は、事件から4年近くたった今も納骨しないまま仏壇に置かれている。

事件後、妻の百合子さん(55)はほとんど外出しなくなり、和男さんも体重が15キロも落ちた。
髪は真っ白になり、右目の視力も悪化、昨年7月には脳梗塞で倒れた。
「私の方が先に逝ってしまうかもしれない」。弱気になり、ふさぎ込んだこともあったという。

公判では極刑を訴え続けたが、「これで2人が帰ってくるわけではないし、怒りや悲しみが和らぐこともない」。
山地死刑囚は19年5月に刑が確定。担当弁護士には「6カ月以内に執行してほしい」と訴えていたという。

和男さんは「長かった。この間もどれだけ苦しい思いをしてきたか。遺族が納得できる法律は日本にはないのかと疑問に思ったこともある」と語気を強めた。