「それが、テロリズムなんです。自分の思想信念を実行するためには、無関係な人をも、犠牲にする行為なのです。許せません」
 キャスターは、
 「神谷さん、このままテロが激化すると、戒厳令が発動されて、自衛隊が治安に当たる事になるかも知れないとの専門家の意見ですが、如何ですか」
 「嫌ですね。軍隊が治安に当たるというのは。だいたい、そんなものは、憲法違反でしょう」
 「しかし、このままでは、テロを抑えきれないとすると、如何です。やむを得ないと思われますか?」
 「自衛隊ではなく、アメリカ軍に頼んだらどうです? 戦争のプロでしょう?」
 解説者は、笑った。
 「いや、気持ちは分りますが、それでは、日本の事は、日本人で解決できないのかと、全世界で笑われますよ」
 「じゃあ、松田さんは、賛成なんですか」
 「うーん・・・革新党は、組織が大きいですからねえ。気持ちは反対ですけど、現実を考えると、やむを得ないでしょうねえ」
 亮は、解説者の顔を見ながら、「これはシナリオだ」という、塩谷の言葉が頭に浮かんだ。
 番組は、深夜まで続いた。