高齢者世帯収入、公的年金比率が5.2ポイント低下、昨年、平均所得は334万円に増加。
2019/07/03 日本経済新聞 朝刊

 厚生労働省は2日、2018年の国民生活基礎調査を発表した。高齢者世帯では収入の61・1%を公的年金でまかなっていることが
わかった。働く高齢者が増えたため、17年の調査から5・2ポイント低下した。高齢者世帯の平均所得は334万9千円と17年調査に
比べて5・1%増えた。
 老後資金が「2000万円不足する」とした金融庁の報告書が国会などで問題になった。働くことで生活費を補〓する高齢者の実態が
調査で浮き彫りになった。一方、公的年金だけで暮らしてい世帯も51・1%いる。
 高齢者世帯の収入の内訳をみると、働いて得た所得は20・0%増の85万1千円だった。利子や配当の所得も26・7万円と59・0%
伸びた。
 公的年金は204万5千円と3・2%減った。単身高齢者の世帯が増えたことや、公的年金の給付水準が低下していることが影響した
ようだ。1世帯あたりの平均所得は17年調査比で1・5%減の551万6千円。現役時代と比べて収入が減った高齢者世帯の比率が
27・6%と、1・4ポイント上昇したことが影響した。

 18歳未満の子どもを持つ世帯の所得は0・5%増の743万6千円だった。18歳未満の子どもがいる母親のうち、仕事をしている人の
比率は72・2%にのぼり、1・4ポイント増えた。
 統計を取り始めた04年以来で最多だった。働く母親の増加が子どもを持つ世帯の所得を押し上げたよう。
 生活意識に関する質問では、全世帯で「苦しい」との回答が57・7%となり、1・9ポイント増えた。高齢者世帯は0・9ポイント増の55
・1%、子供のいる世帯は3・4ポイント増の62・1%だった。