金融株に買い戻し 日米金利上昇を好感
2018/04/23 20:30 日経速報ニュース
 株式市場で銀行や保険など金融株に資金が流入している。23日は日米の金利上昇や米国の金融規制の緩和期待などを背景に、三菱UFJフィナンシ
ャル・グループなどが逆行高となった。半導体など成長株の一角に先行き警戒感が強まっており、これまで出遅れていた金融株に物色がシフトしている
ようだ。
 23日は三菱UFJが前週末比2%高となったほか、三井住友フィナンシャルグループや、りそなホールディングスも買われた。第一生命ホールディング
スや東京海上ホールディングス、T&Dホールディングスなど保険株も総じて上昇した。3月末比でも日経平均株価の上昇率(3%)を上回って推移して
いる。
 買い戻しのきっかけの1つは長期金利の上昇だ。米長期金利の指標となる10年物国債の利回りは20日に約4年3カ月ぶりの高水準を付けた。日本の
債券市場でも23日は一時0.065%と約1カ月半ぶりの水準まで上昇した。金利が上昇すれば預貸利ざやの拡大や、運用収益の改善への期待が高まり
やすい。
 米国では金融機関の高リスク取引を厳しく制限する「ボルカー・ルール」の運用を見直す機運が高まっている。大和証券の木野内栄治氏は「米金融規
制の緩和は一部の邦銀にも恩恵が及び買い材料だ」とみる。
 これまで金融株は代表的な出遅れ業種だった。日経業種別で年初から3月末までの騰落率を見ると、「銀行」はマイナス15%と「海運」に次いで2番目
に下落率が大きい。23日時点でもPBR(株価純資産倍率)が1倍を大きく割れる銘柄が多く割安感がある。
 三菱UFJ国際投信の石金淳氏は「半導体などのハイテク株から資金がシフトしている」とみる。スマートフォン(スマホ)向け需要減への警戒からハイ
テク株は下げがきつくなっており、割安株に物色が移っている。
 ただ、メガバンクに比べて地銀株の上昇は見劣りする。国内依存度が高く米金利上昇の追い風を受けにくいことが背景にあるようだ。