https://mainichi.jp/articles/20171227/k00/00e/030/293000c
毎日新聞 2017年12月27日 15時12分(最終更新 12月27日 15時25分)

 慰安婦問題に関する2015年の日韓両政府合意の経緯を検証していた韓国外相直属の作業部会は27日、「協議の過程で被害者の意見を
十分に取りまとめせず、政府間で慰安婦問題の『最終的かつ不可逆的解決』を宣言しても、問題が再燃するのは避けられない」などと指摘する
報告書を発表した。また、慰安婦を象徴する少女像の撤去問題などで一部非公開の合意があった点を問題視し、外交当局間の「秘密交渉」で
はなく、「国民とともに呼吸する民主的な手続きと過程が重要だ」と問題解決の方法論で注文を付けた。


 報告書は、非公開の合意内容についても言及。少女像撤去問題について「韓国政府が適切な解決に努力する」とした公開された合意に加え、
非公開の確認部分として、韓国政府が撤去に反対する市民団体の「説得に努力」することや、第三国に設置された像についても「韓国政府が
関与することではないが、こうした動きを支援せず、韓日関係が健全に発展するよう努力する」ことなどが約束されたとしている。

 また、「最終的かつ不可逆的解決」という文言は、安倍晋三首相の公式謝罪を担保する閣議決定を要求する文脈で韓国側が要求したが、
閣議決定は実現せず、「韓国側の当初の意図とは違い、『解決』の不可逆性を意味する脈略に変わった」などと経緯を指摘した。

 報告書は、再交渉など今後の政府立場に対する方向性は示さなかった。康京和(カン・ギョンファ)外相は26日の記者会見で、元慰安婦らの
意見を改めて聴取し、一定期間の検討を経て政府見解を判断する姿勢を示している。

 今年5月に発足した文在寅(ムン・ジェイン)政権は、日韓合意が国民の支持を得ていないとして7月、作業部会を設置。被害者である元慰安婦
の意向が反映されているか、合意に「最終的かつ不可逆的」と盛り込まれた背景などを検証していた。

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