2015.12.31 05:00

 「区内では全部の高齢者を支えられない」。東京都豊島区の高野之夫区長は、高齢人口が今後急増していくと介護・医療施設の受け入れ体制が追い付かなくなると嘆く。
区は将来をにらみ、西武線でつながる埼玉県秩父市との間で、希望者を対象にした区民移住構想の検討を進めている。

 面積の9割近くを森林が占める山あいの秩父市は、若者の都会流出で人口減が進行。町中の商店はところどころシャッターが下りたまま。市長室長の新井秀弘氏は「高齢者に限らず、できれば若い人にも転入してもらいたい」と、豊島区からの移住に期待を寄せる。
東京と比べて住宅費も安く、地元の産業に従事しながら新たな生活基盤を築きたい人を後押しする考えという。

 ◆13万人分の施設不足

 高度成長期に都会に流入した団塊の世代が、75歳を迎える2025年には医療・介護需要が急増する見込みだが、地価の高い都心では高齢者施設の建設コストは高く、供給不足が深刻化する恐れがある。
その対策として、安倍晋三政権は50〜60代を中心に介護・医療施設を備える地方への移住を選択肢として示す日本版CCRC(生涯活躍のまち)構想を打ち出した。人口が減少する地方都市も受け入れを検討し始めたが、肝心の都会住民が付いてくるかは不透明だ。

 民間有識者らでつくる日本創生会議(座長は増田寛也元総務相)は、東京圏は今後10年間で75歳以上の後期高齢者が175万人増えると分析。
施設入所希望者は増えており、日本全体で特別養護老人ホームの入所待機者数は52万人。現在は都区部の施設不足を近隣県の余剰で賄っている構図だが、25年には東京圏全体で13万人分の不足が顕在化する見通しだという。

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引用元:SankeiBiz http://www.sankeibiz.jp/macro/news/151231/mca1512310500002-n1.htm