円谷プロの創始者で「特撮の神様」として知られる円谷英二さんの一族が、
ウルトラマンをめぐる円谷プロの対応に異議を唱えた。
5月25日に都内で開かれた日本マンガ学会の著作権部会の講演の一幕だ。
円谷英二さんの孫で、円谷プロ6代目社長を務めた円谷英明さんが
「このままでは、ウルトラマンが世界に羽ばたくことはない」と、現在の円谷プロの対応を批判した。
かつて円谷プロは、円谷家の人間が歴代社長を務めた同族企業だった。
しかし2010年以降は、経営難からパチンコ関連企業のフィールズと玩具大手バンダイの2社の傘下企業となり、
円谷という名字の人物は役員名簿に見当たらない。
■「海外展開の全権利を確認」と円谷プロは発表
争いを起こしたタイ人実業家のソンポート・センゲンチャイさんは、
ウルトラマンの監修をした「特撮の神様」故・円谷英二氏に1960年代に師事した。
また、円谷英二氏の息子で円谷プロ元社長、故・円谷皐(のぼる)氏ともセンゲンチャイさんは親交を深めた。
1995年の皐氏の死去後、センゲンチャイさんは円谷プロに対して、次のように主張した。
「皐さんから、ウルトラQからウルトラマンタロウまでの作品の海外利用権を譲渡するという
サインと社判入りの契約書を1976年にもらった。円谷プロは自分に無断で海外展開しないで欲しい」
センゲンチャイさんが提示した契約書に対して、円谷プロは「偽造されたものだ」と反発。
日本では1997年から裁判が始まった。
2004年に最高裁は「契約書の社判は本物である」と認定したことでセンゲンチャイさん側が勝訴した。
円谷プロには、ウルトラマンシリーズの海外利用権がないという判決が下った。
一方、タイでも裁判になっており、
2008年に「契約書はサインが違うので偽物」として円谷プロの勝訴が確定した。
こうして、少なくともタイでは円谷プロに権利があるという判断になった。
同年12月、センゲンチャイさん側の権利は、東京都港区のユーエム社(上松盛明社長)に譲渡されたが、
各国での裁判は続いた。
2013年の中国では、
社判を理由にセンゲンチャイさん側の勝訴が確定するなど一進一退の攻防が続いていた。
そんな中、円谷プロは4月24日、アメリカのカリフォルニア中央区地方裁判所で全面勝訴したと発表した。
プレスリリースの中で、円谷プロは、
問題の契約書が「円谷皐によって署名され捺印された真正な契約書ではなく、効力はない」と判断されたと説明。
今回の判決では「当社が『ウルトラマン』キャラクターに基づく作品や商品を日本国外においても展開する
一切の権利を有することが確認された」とコメントしていた。
■円谷英明さんは「無理がある」声明を批判
しかし、円谷英明さんは講演の中で、この声明を厳しく批判。
「これまでウルトラマンは国ごとに裁判の管轄が違うということで世界各国で裁判をやってきました。
アメリカの地裁で勝っただけで世界的に全部できるというのは無理がある」と話した。
また、著作権部会の司会を務めた久留米大学名誉教授の大家重夫(おおいえ・しげお)さんも
円谷英明さんの意見に賛同した。
ハフポスト日本版の取材に対して大家さんは
「アメリカの裁判の効力は、アメリカでしか発揮できない。もし今後、最高裁で勝ったとしても、
円谷プロが言うように全世界での権利が認められるわけではない」とコメントした。
著作権部会での円谷英明さんのウルトラマンに関する主な発言は以下の通り。
画像:演する円谷英明さん
https://o.aolcdn.com/images/dims3/GLOB/crop/1149x575+0+67/resize/630x315!/format/jpg/quality/85/http%3A%2F%2Fo.aolcdn.com%2Fhss%2Fstorage%2Fmidas%2Fa6954c7f4c2f01b90f10f603c1f216f%2F206403874%2F33IMG_8535.JPG
https://www.huffingtonpost.jp/2018/06/05/tsuburaya-hideaki_a_23443456/
続く)
ウルトラマンをめぐる円谷プロの対応に異議を唱えた。
5月25日に都内で開かれた日本マンガ学会の著作権部会の講演の一幕だ。
円谷英二さんの孫で、円谷プロ6代目社長を務めた円谷英明さんが
「このままでは、ウルトラマンが世界に羽ばたくことはない」と、現在の円谷プロの対応を批判した。
かつて円谷プロは、円谷家の人間が歴代社長を務めた同族企業だった。
しかし2010年以降は、経営難からパチンコ関連企業のフィールズと玩具大手バンダイの2社の傘下企業となり、
円谷という名字の人物は役員名簿に見当たらない。
■「海外展開の全権利を確認」と円谷プロは発表
争いを起こしたタイ人実業家のソンポート・センゲンチャイさんは、
ウルトラマンの監修をした「特撮の神様」故・円谷英二氏に1960年代に師事した。
また、円谷英二氏の息子で円谷プロ元社長、故・円谷皐(のぼる)氏ともセンゲンチャイさんは親交を深めた。
1995年の皐氏の死去後、センゲンチャイさんは円谷プロに対して、次のように主張した。
「皐さんから、ウルトラQからウルトラマンタロウまでの作品の海外利用権を譲渡するという
サインと社判入りの契約書を1976年にもらった。円谷プロは自分に無断で海外展開しないで欲しい」
センゲンチャイさんが提示した契約書に対して、円谷プロは「偽造されたものだ」と反発。
日本では1997年から裁判が始まった。
2004年に最高裁は「契約書の社判は本物である」と認定したことでセンゲンチャイさん側が勝訴した。
円谷プロには、ウルトラマンシリーズの海外利用権がないという判決が下った。
一方、タイでも裁判になっており、
2008年に「契約書はサインが違うので偽物」として円谷プロの勝訴が確定した。
こうして、少なくともタイでは円谷プロに権利があるという判断になった。
同年12月、センゲンチャイさん側の権利は、東京都港区のユーエム社(上松盛明社長)に譲渡されたが、
各国での裁判は続いた。
2013年の中国では、
社判を理由にセンゲンチャイさん側の勝訴が確定するなど一進一退の攻防が続いていた。
そんな中、円谷プロは4月24日、アメリカのカリフォルニア中央区地方裁判所で全面勝訴したと発表した。
プレスリリースの中で、円谷プロは、
問題の契約書が「円谷皐によって署名され捺印された真正な契約書ではなく、効力はない」と判断されたと説明。
今回の判決では「当社が『ウルトラマン』キャラクターに基づく作品や商品を日本国外においても展開する
一切の権利を有することが確認された」とコメントしていた。
■円谷英明さんは「無理がある」声明を批判
しかし、円谷英明さんは講演の中で、この声明を厳しく批判。
「これまでウルトラマンは国ごとに裁判の管轄が違うということで世界各国で裁判をやってきました。
アメリカの地裁で勝っただけで世界的に全部できるというのは無理がある」と話した。
また、著作権部会の司会を務めた久留米大学名誉教授の大家重夫(おおいえ・しげお)さんも
円谷英明さんの意見に賛同した。
ハフポスト日本版の取材に対して大家さんは
「アメリカの裁判の効力は、アメリカでしか発揮できない。もし今後、最高裁で勝ったとしても、
円谷プロが言うように全世界での権利が認められるわけではない」とコメントした。
著作権部会での円谷英明さんのウルトラマンに関する主な発言は以下の通り。
画像:演する円谷英明さん
https://o.aolcdn.com/images/dims3/GLOB/crop/1149x575+0+67/resize/630x315!/format/jpg/quality/85/http%3A%2F%2Fo.aolcdn.com%2Fhss%2Fstorage%2Fmidas%2Fa6954c7f4c2f01b90f10f603c1f216f%2F206403874%2F33IMG_8535.JPG
https://www.huffingtonpost.jp/2018/06/05/tsuburaya-hideaki_a_23443456/
続く)