韓国の新型戦車「K2(黒豹=フクピョ)」の開発が失敗に終わろうとしている。開発開始(1995年)から20年以上たつものの、エンジンの大出力を駆動系に伝える変速機の開発がうまくいかず、試作品は国(防衛事業庁)の試験に落第また落第。ついに変速機の生産メーカーS&T重工業が「試験方法や性能要求が厳しすぎる」として防衛事業庁を訴えたのだ。現地メディアによるとS&T社は本訴も予告しているといい、国産戦車開発は“泥沼”にはまり込んだ格好だ。(岡田敏彦)
■赤点は誰のせい?
訴訟トラブルは6月末に明らかとなった。韓国通信社の聯合ニュースなどによると、K2戦車の変速機を開発していたS&T社が変速機の耐久試験に“ギブアップ”したのだ。
S&Tの主張は「韓国の国防規格は、走行距離が9600キロに達するまで欠陥があってはならないことを意味している。この耐久試験中に欠陥が発生した場合、最初から試験をやり直さなければならない」というもの。同社では試験に時間がかかるとし「このままでは試験を無限ループするしかない」とし、国防規格や試験方法の変更を求めたが受け入れられなかったとして、再試験中断を求めソウル中央地裁に仮処分申請を出したことを6月30日に明らかにした。
国の定めた規格が厳しすぎるという主張だが、これは「私が試験で赤点なのは、試験問題が難しすぎるからだ。もっと簡単な問題に変えるべきだ」というに等しい。というのも“他の生徒”は試験に合格しているのだ。
現地メディアによると、かつてK2の変速機は、いつまでたっても国産化できず、車体だけが多数完成して倉庫で埃をかぶる状態になっていたとされる。そこで韓国政府はドイツ製のパワーパック(変速機とエンジンが一体化されたもの)を約100台分購入し、なんとか完成させ、軍に納入した。一方で「これでは当初予定していた国産化とはいえない」として、その後も変速機(とエンジンを一体化したパワーパック)の国産化にこだわってきた。
ところが韓国製の変速機は試作したものの試験のたびに欠陥が明らかになり、ドイツ製との「質の差」が明らかになるばかり。既にドイツ製を搭載したK2戦車は実戦配備され、何の問題も起していないのだ。
これほど差がつく背景には、歴史的な技術力の蓄積の違いがある。
■外国頼み
韓国では冷戦時代、M48など米軍の中古戦車を大量に使用してきたが、1970年代には北朝鮮軍も強力な戦車を配備したことが明らかになり、相対的に旧式化が進んだ。
このため韓国政府と軍は80年代に独自の戦車開発を模索したが、ノウハウが全くなかったため、米クライスラー社に設計を依頼した。同社は当時、米軍の主力戦車M−1エイブラムスの開発・製造に携わっていたことも考慮された。
開発、試作は全て米国側の手で進み、生産は韓国という形で初の「韓国産」戦車のK−1量産車が84年に誕生した。とはいえ、韓国での生産は、全て米国の指示通りに作るだけのもので、部品や機構の形状や強度の必然性について理解する必要はなかった。
http://www.sankei.com/images/news/170813/wst1708130003-p1.jpg
訓練中のK2戦車(韓国陸軍HPより)
http://www.sankei.com/west/news/170813/wst1708130003-n1.html
http://www.sankei.com/west/news/170813/wst1708130003-n2.html
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http://www.sankei.com/west/news/170813/wst1708130003-n3.html
http://www.sankei.com/west/news/170813/wst1708130003-n4.html
http://www.sankei.com/west/news/170813/wst1708130003-n5.html
■赤点は誰のせい?
訴訟トラブルは6月末に明らかとなった。韓国通信社の聯合ニュースなどによると、K2戦車の変速機を開発していたS&T社が変速機の耐久試験に“ギブアップ”したのだ。
S&Tの主張は「韓国の国防規格は、走行距離が9600キロに達するまで欠陥があってはならないことを意味している。この耐久試験中に欠陥が発生した場合、最初から試験をやり直さなければならない」というもの。同社では試験に時間がかかるとし「このままでは試験を無限ループするしかない」とし、国防規格や試験方法の変更を求めたが受け入れられなかったとして、再試験中断を求めソウル中央地裁に仮処分申請を出したことを6月30日に明らかにした。
国の定めた規格が厳しすぎるという主張だが、これは「私が試験で赤点なのは、試験問題が難しすぎるからだ。もっと簡単な問題に変えるべきだ」というに等しい。というのも“他の生徒”は試験に合格しているのだ。
現地メディアによると、かつてK2の変速機は、いつまでたっても国産化できず、車体だけが多数完成して倉庫で埃をかぶる状態になっていたとされる。そこで韓国政府はドイツ製のパワーパック(変速機とエンジンが一体化されたもの)を約100台分購入し、なんとか完成させ、軍に納入した。一方で「これでは当初予定していた国産化とはいえない」として、その後も変速機(とエンジンを一体化したパワーパック)の国産化にこだわってきた。
ところが韓国製の変速機は試作したものの試験のたびに欠陥が明らかになり、ドイツ製との「質の差」が明らかになるばかり。既にドイツ製を搭載したK2戦車は実戦配備され、何の問題も起していないのだ。
これほど差がつく背景には、歴史的な技術力の蓄積の違いがある。
■外国頼み
韓国では冷戦時代、M48など米軍の中古戦車を大量に使用してきたが、1970年代には北朝鮮軍も強力な戦車を配備したことが明らかになり、相対的に旧式化が進んだ。
このため韓国政府と軍は80年代に独自の戦車開発を模索したが、ノウハウが全くなかったため、米クライスラー社に設計を依頼した。同社は当時、米軍の主力戦車M−1エイブラムスの開発・製造に携わっていたことも考慮された。
開発、試作は全て米国側の手で進み、生産は韓国という形で初の「韓国産」戦車のK−1量産車が84年に誕生した。とはいえ、韓国での生産は、全て米国の指示通りに作るだけのもので、部品や機構の形状や強度の必然性について理解する必要はなかった。
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訓練中のK2戦車(韓国陸軍HPより)
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