AIスタートアップ(新興企業)のELYZA(東京)は16日、最新版が発表されるなど話題の対話型AI「ChatGPT(チャットGPT)」をはじめとしたAIについての説明会を開催。チャットGPTなどAIの活用が今後進むとした上で、肉体労働やクリエーティブな仕事以外のすべての仕事の姿が大きく変わる結果、「週休4日や3日になる可能性もある」(野口竜司取締役)との見方を示した。

チャットGPTはAIが対話型で質問に回答してくれるサービス。昨年11月末の公開からわずか2カ月で利用者が1億人に達した。単純な応答からプログラミングまで応用範囲は拡大し続けている。14日には開発元の米オープンAIがチャットGPTの頭脳といえる大規模言語モデルの最新版「GPT-4」を発表した。正確さが向上するとともに、文字だけでなく画像や音声を入力することで回答を導き出してくれるようになる。例えば卵や小麦粉の画像と一緒に「この材料で何が作れるか」と尋ねると「パンケーキ」などと答えるという。

チャットGPTが脚光を浴びたことで、大規模言語モデルにも注目が集まり、各国の巨大ITも開発を進めている。大規模言語モデルは投資を増やしてコンピューターの規模を大きくすればするほど性能が上がるとされているため、米マイクロソフトが投資するオープンAIや米グーグル、中国の検索大手の百度(バイドゥ)など巨大ITがしのぎを削っている。しかし、ELYZAの曽根岡侑也最高経営責任者(CEO)は「GPTよりも小規模な言語モデルでもチャットGPTと同じ精度が出せたという研究結果も発表された。今後、大規模言語モデルは拡大競争の方向には進まないのではないか」と指摘。米中など巨大ITによる独占を懸念して、無償公開されて、誰もが利用できるオープンソースの大規模言語モデルの開発も進められているという。

GPTの最新版によりあらゆる分野の回答の正確性が向上するが、それでも曽根岡氏は「(何らかの)間違いが起こるのは確実な話」と、完全に誤りのない回答を導き出すのは不可能だと指摘した。日本語に特化した言語モデルも同時に活用することなどでカバーする必要があるという。

一方で、今後、GPT-4などの大規模言語モデルの活用によって「過去に色々な技術が発展した結果、必要な労働の姿も変化してきたが、AIはそういう変化を一気に加速させる可能性がある」(野口氏)と指摘。肉体労働とクリエーティブな仕事だけが残り、他のあらゆる仕事がAIに置き換わっていく可能性にも言及した。
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