2023/2/3 11:18

 田辺三菱製薬は3日、カナダの子会社が開発し、2022年にカナダで承認されていた新型コロナウイルスワクチンの商用化を断念し、事業から撤退することを発表した。
子会社の清算も進める。他社が開発したコロナワクチンの普及や、世界的な需要の減少に加えて、商用化に向けた大量生産体制の構築に課題があり、撤退を決めた。

 ワクチンは、田辺三菱の子会社、メディカゴ社が開発していた。植物由来タイプのコロナワクチンで、生育の早いタバコ属の葉を使い、従来のワクチンに比べて生産にかかる時間が短く、コストも抑えられることが利点とされていた。

 カナダでは22年2月に承認を受け、カナダ政府とは最大7600万回分を供給する契約を結んでいた。しかし、安定して量産化する技術の構築に課題があり、供給できていなかった。計画していた日本国内での承認申請も実施できないままだった。

 田辺三菱は商用化に向けてカナダや米国内の工場への投資も進めたが、事業撤退を決めた。一時、メディカゴの売却も検討したが、決定までに時間を要するとして清算を決めたという。
カナダ政府との契約については「今後協議する」とした。田辺三菱の親会社、三菱ケミカルグループは業績への影響を精査している。

 メディカゴは現在、田辺三菱の100%子会社だが、カナダで承認を受けた時点では米たばこ大手フィリップ・モリス・インターナショナルが出資していたため、
たばこ産業に厳しい対応を取る世界保健機関(WHO)が緊急使用承認を認めない方針を示したという経緯もあった。

https://www.sankei.com/article/20230203-QO7F7J7V3VJ63AS4ZH6FUMFTGM/