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財務省が12日発表した2022年11月の国際収支統計(速報)によると、貿易や投資などの海外との取引状況を表す経常収支は1兆8036億円の黒字だった。黒字額は前年同月から16.4%増え、11月として過去最大となった。前年同月を上回るのは8カ月ぶり。海外子会社からの配当金の増加や訪日外国人の急回復による黒字が貿易収支の赤字を上回った。

経常収支は輸出から輸入を差し引いた貿易収支や、外国との投資のやり取りを示す第1次所得収支、旅行収支を含むサービス収支などで構成する。22年10月は円安や資源高を受けた貿易赤字により、経常収支は9カ月ぶりの赤字となっていた。

11月の貿易収支は1兆5378億円の赤字で、11月としては過去最大だった。

輸出額は前年同月比20.7%増の9兆81億円だった。自動車や建設用・鉱山用機械などがけん引し、21カ月連続で前年同月を上回った。輸入額は33.8%増の10兆5460億円だった。エネルギー価格の高騰などで22カ月連続で増えた。

原油の輸入価格は1バレルあたり100ドル38セント、円建てで1キロリットルあたり9万2344円だった。前年同月比で2~5割高の水準ながら10月に比べ低下した。11月は対ドルの円相場も円高方向に動いたことで貿易赤字も10月に比べると縮小した。

第1次所得収支は3兆7245億円の黒字で、前年同月から53.9%増えた。黒字額は11月としては過去最大で、他の月を含めても過去3番目の水準となった。

内訳をみると海外子会社からの配当金などの直接投資収益が自動車関連や商社などで増えた。海上輸送運賃や資源価格の高騰で海運、エネルギー関連の海外子会社の業績が好調だったほか、円安で円建ての評価額が膨らんだ。債券や株式投資の証券投資収益も、輸送関連で大口の配当金があった。

サービス収支は1664億円の赤字だった。赤字幅は前年同月比で300億円超、前月比で5000億円超縮小した。訪日外国人の消費額から日本人が海外で使った金額を引いた旅行収支の黒字が950億円と、前年同月比で6倍になったことが寄与した。政府が22年10月に水際対策を大幅に緩和したことで、訪日外国人は急回復してきた。

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10月経常赤字、尾引く資源高・円安 旅行収支は回復兆し: 日本経済新聞
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2023年1月12日 9:01 (2023年1月12日 11:08更新)
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA120R00S3A110C2000000/