木造の中高層マンションの建設が相次いでいる。強度や耐火性を高めた建材の開発が進み、低コスト化や工期短縮が実現できるようになった。脱炭素につながり、民間の建築物に国産木材の利用を促す改正法も10月に施行されることから、今後さらに建設が広がりそうだ。

三井不動産傘下の三井ホームは東京都稲城市で、同社初の5階建て木造賃貸マンションの建設を進めている。最も強度が必要となる1階部分は鉄筋コンクリート(RC)だが、2階以上の壁や床などは木造だ。耐震や耐火、防音などの性能は鉄筋と遜色がないという。将来的には全国主要エリアに展開したい考えだ。

 木造マンションは、柱や壁といった主要な構造物に木材が使われている物件を指す。木材は鉄筋などに比べて軽く、建物の地盤改良も一部が不要になる。

 三井ホームのマンションは、建設コストを1〜2割ほど削減できる見通し。コロナ禍の影響で輸入材の供給が不足し、木材価格が急騰する「ウッドショック」と呼ばれる現象も起きているが、建築前に材料を確保していたため影響はないという。

 関西でも、大阪市西区のオフィスビル「大阪木材仲買会館」や、京都府向日市の商業ビル「SUBACO(スバコ)」など木造の中高層建築が続々と登場している。

 鉄骨やRCと木材を併用した「ハイブリッド構造」のマンションもある。野村不動産は昨年9月、東京都千代田区でハイブリッド構造の14階建て分譲マンションを発売した。東急不動産はハイブリッド構造のオフィスビルを渋谷区に建設する予定だ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/7a376dff26122e31eb6fd451a2e9eec726bad9b4