今回は、普段使いのクレジットカードやデビットカードなどの決済用カードを読み取り機にかざすことで列車やバスなどの交通系サービスに乗車可能な「オープンループ」の仕組みを取り上げる。

オープンループは、真っ赤な2階建てバスで知られる英国ロンドン市内のバスで2012年に導入されたことを皮切りに、現在では世界中へと拡大している。
実はロンドン交通局(TfL)は、それより10年近く前の2003年に交通系ICカード「Oyster」を導入し、現在もサービスを継続している。
このOysterによる「クローズドループ」の時代を経て、外部の決済カードを受け入れるオープンループへと変化していったのだ。

せっかくOysterを普及させたのに後からオープンループへも対応したのは、ひとえに国際都市ゆえに短期出張者や観光客も含め国内外からの人の出入りが多く、それもあってOysterの発行・維持コストが増え続けTfLの負担になっていたためだ。
クローズドループの交通系ICカードがほぼ全国で相互運用可能になっている日本でも、コストの問題は一部事業者がオープンループの導入を進めるモチベーションとなっている。

日本の場合、交通系ICカードのうち「Suica」の利用が開始されたのは2001年だった。2004年にSuicaを使った電子マネーサービスを開始した。順序としては、オープンループの「決済可能な外部のカードを交通系で受け入れる」とは逆で「交通系で使っているカードを外部の決済で使う」となっている。

同様の動きは、香港、韓国、台湾、中国、シンガポールなどの国や地域でも起きており、恐らくはアジア特有の流れなのかもしれない。前提として、外部の小売店が交通系ICカードを決済手段として受け入れるほど、世間一般に交通系ICカードが普及している必要があるわけで、香港やシンガポールなどのように発展した都市が他の都市に先駆けてこの流れに乗っていたのも、ある意味で当然といえるかもしれない。

だが、こうした交通系ICカードの普及は都市部の話だ。通勤に電車やバスを使う人が少ない地方都市や過疎地域において、交通系ICカードは普段使いのカードにはなり得ない。また、Suicaなど交通系ICカードの仕組みは高コストであり、利用客数の少ない沿線においては紙の切符や定期券の発行・運用コストに太刀打ちできない。

今でこそ、利便性向上のために地元専用の交通系ICカードをSuicaなど主要都市の交通系ICカードと連携させる試みが増えているものの、いまだこうした交通系ICネットワークの外にいる事業者や地域は少なからず存在する。今回紹介する京都丹後鉄道もその1つだ。

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https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01113/122400015/