「今回は多くの国・地域の人に参加してもらった」。LINEのパク・イビンCTO(最高技術責任者)は25日、エンジニア向けの技術発表会で手応えを見せた。国内会場で開催した昨年はほぼ日本人だったが、オンライン開催に変更した今年は8000人の参加者の3分の2が海外だ。
LINE単体の社員約2700人に対し、今は台湾の現地法人で900人、タイで400人、インドネシアで100人の社員をそれぞれ抱える。この3カ国・地域は2013〜14年にメッセージアプリの提供を始め、コンテンツ配信などサービス拡大に注力してきた。
開発を指揮したのは当初、グループのLINEプラス(韓国)だったが、今は各地で成長した現地法人が主導。LINEは「完成したサービスを現地仕様にする『ローカライズ』ではなく、各国のニーズに合わせて立ち上げる『カルチュライズ』が大事だ」とする。
成功例がタイだ。15年に始めた動画配信サービス「LINE TV」は9月から世界19カ国・地域で配信を始めた。現地のドラマだけでなく、独自作品の製作も強化。利用者数は4千万人超に及び、米ネットフリックスにも作品を提供する。
10月には商業銀行大手、カシコン銀行と組み、同社初のスマホ銀行「LINE BK」をタイで投入した。21年にも日本や台湾、インドネシアに展開する予定だ。
台湾ではLINEの利用者が2100万人と全人口の約9割に達する。ニュースサイト、ネット通販などに続き、19年7月に始めたのが情報の真偽を確かめる「ファクトチェック」の窓口だ。調査を行う4団体と連携し、新型コロナを巡る偽情報対策にも一役買った。
一方で劣勢の国もある。日本、台湾、タイ、インドネシアを重点4カ国・地域とするが、インドネシアは苦戦。対話アプリで米フェイスブックが運営する「ワッツアップ」に離され、スーパーアプリ化は配車を核に戦略を進める現地地盤のゴジェックに後れを取る。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66632560V21C20A1FFE000/